2017 Fiscal Year Annual Research Report
マルチタッチ入力を用いたユーザインタフェースの研究
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17J02834
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
池松 香 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 静電容量方式タッチサーフェス / タッチパネル / タッチ入力 / タンジブル / インタラクション手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
市販の静電容量方式のタッチサーフェス(トラックパッド、スマートフォン、タブレットPC等)におけるタッチ入力時に、デバイス内蔵のセンサにより取得可能な付随情報を用いて、タッチ入力語彙を拡張するためのインタラクション手法の研究を推進した。 具体的には、(1)指とタッチサーフェスとの間にオブジェクトを介在させ、そのオブジェクトの電気的特性(電気抵抗値)に応じて連続的な入力を可能とする手法(Ohmic-Touch)および、(2)実世界のメタファのもとづき、タッチサーフェスの入力座標系を切り替える手法(Carbon Copy Metaphor)の研究を行った。 (1)の研究について、既存の連続的な入力を可能とする手法の多くは、オブジェクトのインピーダンス容量成分を変化させることで実現している。しかし、ユーザの入力に応じて容量成分を変化させる仕組みを小型かつ安価に作成することは困難であるといえる。これに対し、抵抗器や可変抵抗器、様々な入力により抵抗値が変化するセンサ等、安価で精密な電気抵抗部品は多く存在する。また、導電性素材を用いてインクジェットプリンタや3Dプリンタにより任意の抵抗値分布を持つ部品を容易に作成可能である。こうした電気抵抗部品やファブリケーションツールを用いて、ユーザの入力に応じてインピーダンス抵抗成分が変化するオブジェクトを開発し、入力精度の評価を行った。 (2)の研究について、一般的なデスクトップPCやラップトップPCで用いるトラックパッドのポインティング操作は相対座標系を基準としている。しかし、画面横断などの大きい移動量のポインティング操作や、手書きの文字入力等を行う際には絶対座標系の入力が望ましい。本手法では、実世界での道具の使用のメタファにもとづいて入力座標系を切り替えるためのタッチジェスチャセットを提案し、作業効率についてのユーザ評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の両研究について、評価実験により高い有用性を確認している。また、実装及び評価内容をまとめた研究成果を国内外の学会で登壇発表し、論文誌としても採択されている。特に(1)の研究については、国際的なトップカンファレンスであるCHI2018(Conference on Human Factors in Computing Systems)にフルペーパーとして採択され発表予定である。また、WISS2017(Workshop on Interactive Systems and Software)においてベストペーパー賞及びベストプレゼンテーション賞を受賞したことから、対外的にも高い評価を得ている研究成果であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は主に(1)の応用研究を進める予定である。Ohmic-Touchにおいてはユーザの人体のグランド条件に入力精度が影響を受けるという課題がある。これを解決し入力精度をより高める手法を提案する。また、これまではラップトップPCのトラックパッドのみを対象に調査及び実装を行っていたが、スマートフォンやスマートウォッチを対象に含め、新たなインタフェースの開発を行い、その有用性を評価する。さらに、こうした多様な形態のタッチサーフェスを対象にインタフェースの提案・開発・調査を実施し、本手法を用いてインタフェースを作成する上でのデザインガイドラインを考案する。
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Research Products
(9 results)