2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J04430
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 奈生 千葉大学, 大学院人文社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 日本文学 / 日本近世文学 / 江戸文学 / 山東京伝 / 読本 / 合巻 / 絵入本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は近世期の出板物における〈絵〉の役割について、山東京伝作品の分析を通じて考察するものである。近世期に出板されたメディアの特色として、その多くが挿絵を伴うという点が挙げられ、〈絵〉という要素の持つ役割の重要性が近年とみに指摘されてきた。しかし従来の研究は文章(テキスト)の分析に偏重した傾向があり、挿絵などの要素を中心に据えた総合的な研究は未だに充分であるとはいえない状況である。そこで諸ジャンルで活躍した作家である京伝の作品を取り上げることで、近世文学史を絵画的側面から再検討する一助になると考える。 平成29年度は外部機関における調査や学会、研究会などによる発表が充分に行えなかった。ただし、基礎的な文献の分析を重点的に行い、特に黄表作品を中心に考察を進めた。 テキストは『山東京傳全集』を使用し、京伝の黄表紙作品の中でも寛政期後半以降に出板された作品を概観し〈見立て〉の趣向が用いられている挿絵の収集を行った。そこから先行研究、先行作品(絵本、絵手本、浮世草子、黄表紙など)を参照し、京伝作品で利用されているモティーフに先行する図像を収集することを試みたが、典拠未詳のものもあるので引き続き調査を行っていきたい。 現在までの成果としては、〈道中記見立てもの〉の黄表紙作品群と先行作品との比較によって、京伝作品における方法の一端が明らかになった点が有意義であった。 今後は平成29年度の研究成果の報告を行うとともに、読本・合巻という小説類における挿絵の分析についても併せて進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定より進捗状況が遅れている。外部機関における調査や学会、研究会などでの成果報告が充分に行えなかったが、基礎的な文献の分析を重点的にし、次年度の研究をどのように進めるか再検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
黄表紙作品についての研究成果を学会、研究会などで行う予定である。その一方で読本・合巻類の調査を併せて進めていくが、これらについてはどのような角度から分析を加えるか改めて検討する必要がある。
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