2019 Fiscal Year Annual Research Report
リポソームのがん組織集積を促進する生体内分子応答性NO放出剤修飾脂質の開発
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17J04646
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
芳川 拓真 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 一酸化窒素 / EPR効果 / リポソーム / 抗体医薬 / 高分子医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、高分子医薬ががん組織へ集積する機構であるEPR効果の促進剤として、一酸化窒素 (NO) 放出剤を内包並びに脂質に修飾したリポソームの開発と評価を行ってきた。一方本年度は、NO放出剤を修飾した抗体医薬の開発に注力した。具体的には、NO放出剤であるS-nitrosothiol (SNO) を抗ヒト上皮成長因子受容体 (EGFR) 抗体 (Cetuximab) に修飾した、Ab-SNOの開発を行った。Ab-SNOは、2-イミノチオラン塩酸塩によってCetuximabのリジン残基上にチオール基を付加し、亜硝酸エチルを添加し得た。このAb-SNOについて、抗原への結合能、および抗体依存性細胞障害について評価したところ、未修飾の抗体医薬 (Ab) と比較し優位な低下は見られなかった。次にNO放出挙動について評価したところ、生理食塩水および50%血清中37度の加温下でNOを徐放することが明らかになった。これらのことからAb-SNOは、抗体医薬としての機能を維持しつつ、NOを徐放する機能が付加されたことが示唆された。 最後にAb-SNOのEPR効果促進作用について検討した。EGFR発現細胞株であるA549細胞担がんヌードマウスに、蛍光修飾CetuximabとAbもしくはAb-SNOを共投与し、24時間後にがん組織を破砕して蛍光強度を定量した。その結果、Ab-SNO投与群から約50%高い蛍光強度が得られた。また、CT-26担がんマウスにAb-SNOと血中でアルブミンと強く結合するエバンスブルー (EB) を6時間差で投与し、24時間後にがん組織からEBを抽出した。がん組織と血液に残存するEBの量比は、Ab-SNO投与群がAb投与群よりも40%高くなった。これらの結果から、NO放出剤の修飾によって共投与された抗体医薬やアルブミンのEPR効果が促進されることが示唆された。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)