2017 Fiscal Year Annual Research Report
非有界領域上における圧縮性流体方程式の時間周期問題
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17J04778
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津田 和幸 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 圧縮性流体方程式 / 解の時間減衰評価 / diffusion wave |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は非有界領域における圧縮性流体方程式の時間周期解の存在・安定性問題の解析を行い, その解析を通じて準線形双曲-放物型方程式系の時空非一様な解のまわりのダイナミクスの解明に有効な数学解析手法を確立することを目的としている. 今年度は圧縮性Navier-Stokes-Korteweg方程式の解の時間減衰評価を行った. 圧縮性Navier-Stokes-Korteweg方程式とは圧縮性Navier-Stokes方程式を拡張した方程式で, 相転移を伴う二相流体の運動を拡散界面モデルとして記述する圧縮性流体の方程式である.その方程式の解の時間減衰評価に対する詳細な数学解析は基本的かつ重要な問題であり, 準線形双曲-放物型方程式系の時空非一様な解のまわりのダイナミクスの解明に対しても有用な知見を与えるものと期待される. 小林孝行教授との共同研究により,diffusion waveを含めた解の時間減衰評価を調べた. まず線形化方程式を扱い, 低周波部分と高周波部分で分けて解の減衰評価を調べた. 低周波では圧縮性Navier-Stokes 方程式と同様にdiffusion waveの性質が現れることを示した.高周波部分においては, 解が指数減衰するだけでなく,圧縮性Navier-Stokes方程式とは異なり解の平滑化効果が現れることも示した.さらに非線形問題についても解のdiffusion waveの性質が現れることを示した. これらの結果は「第15回日独流体数学国際研究集会」, 国際研究集会「International Workshop on the Multi-Phase Flow; Analysis, Modeling and Numerics」,「日本数学会函数方程式分科会一般講演」などで講演し, 論文としてすでにまとめて現在投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は非有界領域における圧縮性流体方程式の時間周期解の存在・安定性問題の解析を行い, その解析を通じて準線形双曲-放物型方程式系の時空非一様な解のまわりのダイナミクスの解明に有効な数学解析手法を確立することを目的としている. 今年度は圧縮性Navier-Stokes-Korteweg方程式を対象に研究をした. 小林孝行教授との共同研究によりり,diffusion waveを含めた解の時間減衰評価を調べた.解の漸近挙動において,拡散項や拡散波動項の抽出に成功し,広い意味での Huygens の原理を明らかにした. 圧縮性流体方程式の解の時間減衰評価に対する詳細な数学解析は基本的かつ重要な問題であり, この研究成果は準線形双曲-放物型方程式系の時空非一様な解のまわりのダイナミクスの解明に対しても有用な知見を与えるものと期待される. また中国Peking Universityの研究者Hai-Liang Li教授に招待されて2018年1月にセミナー講演を行い, 現在共同して圧縮性流体方程式の時間周期問題に取り組んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は全空間上の圧縮性Navier-Stokes方程式の定常解の安定性解析に取り組む.定常問題の解についてはShibata-Tanaka(2007)により十分小さな外力に対して解の存在と安定性が示されたが, 得られた解の空間無限遠での減衰が微妙なため, 安定性解析における摂動方程式の解の時間減衰評価については最適なものが得られていない. 先行研究では定常解に対する攪乱の時間減衰の速さを求めるために、圧縮性Navier-Stokes方程式の従来の解析手法に加え、分散型Streicherz-type評価を組み合わせるなどの工夫をこらしているが時間減衰評価の最適なものはまだ得られていない. そこで定常解の安定性を考察し, 攪乱の最適な時間減衰評価の導出を目指して研究を行う予定である. その解析を通じて準線形双曲-放物型方程式系の時空非一様な解のまわりのダイナミクスの解明に有効な数学解析手法を確立することを目指す.
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