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2017 Fiscal Year Annual Research Report

離散時間確率系における不確かさ表現とロバスト制御理論

Research Project

Project/Area Number 17J05744
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

柳楽 勇士  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywordsロバスト制御 / 確率系 / スモールゲイン定理 / 因果性 / 確率的Dスケーリング
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、離散時間確率系に対するロバスト制御の新たな枠組みを構築することである。とくに、本年度では、通常の確定系の議論においてロバスト制御の基礎をなすことで知られているスモールゲイン定理とその定理に基づく解析に関して以下の三つの考察を行った。
一つ目は、一般的な入出力系に対する因果性の定義を与えたことである。スモールゲイン定理を導出するに際し、考察の対象とする系が因果的であることを仮定する必要があるが、先行研究にある因果性の定義に基づいた場合には、ある種の非線形系をその対象とすることができない。そこで、先行研究にある定義を見直し、適切に(段階的に)修正することを通して、(先行研究では考察の対象とならなかった系も含めた)一般的な入出力系に対してもっとも妥当と思われる因果性の定義を与えた。
二つ目は、離散時間確率系に対するスモールゲイン定理を導出したことである。そのためにまず、確率的lp空間と呼ぶ空間を定義し、さらにその拡張空間を導入した。とくに、この拡張空間の導入はスモールゲイン定理を示す際には重要であって、この空間を導入しなければ、示そうとする事柄をはじめから仮定した議論になってしまい、結果としてその定理の証明が意味をなさなくなる。先行研究では、この空間を導出せずに定理の証明が試みられていたので、その不備を本研究により是正した。
三つ目は、二つ目で導出した確率系のスモールゲイン定理に基づく安定解析の一つとして、確率的Dスケーリングと呼ぶ手法を提案したことである。これは、考察の対象とする閉ループ確率系の背後にあるランダム性を適切に反映させた確率的なスケーリング要素と(通常の)確定的なスケーリング要素を用いることにより、解析の保守性を低減する手法であり、数値例によりその有効性を検証した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題において最も重要な研究項目の一つである「離散時間確率系に対するスモールゲイン定理の導出」を(不備なく)行うことに成功しており、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。また、確率系のスモールゲイン定理を導出するに際し、先行研究にある(通常の)確定系のスモールゲイン定理を見直す中で、考察の対象とする系の因果性の定義の与え方が(より一般的な入出力非線形系に対して)必ずしも妥当ではないことが明らかとなった。そこで、確率系の議論とは別に、因果性に関する考察を深め、入出力系に対して妥当と思われる定義を与えた。現在、この定義に基づくスモールゲイン定理の導出にも成功しており、因果性に関するここまでの成果をまとめて本年度四月に国際誌に投稿した。なお、この研究項目は確定系に関するものであるが、確率系の議論へと拡張することは可能である。
確率系の研究項目に関して、上記スモールゲイン定理の導出のほかに、その定理に基づく安定解析の一つとして確率的Dスケーリングと呼ぶ手法を提案し、実際に提案手法が有効であることを数値例により検証した。これら二つの(確率系に関する)研究項目もそれぞれ国際誌に投稿する予定である。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策に関して、確率的Dスケーリングに基づく安定解析に関する考察を進める予定である。現在提案している確率的Dスケーリングとは、考察の対象とする閉ループ確率系の背後にあるランダム性を適切に反映させた静的で確率的なスケーリング要素と(通常の)静的で確定的なスケーリング要素を用いることにより、解析の保守性を低減する手法であるが、これら二つのスケーリング要素はいずれも(適切に)与えられていることが前提であった。そこで、今度はこれらの要素を探索する方法について考え、さらにその探索により得られた二つのスケーリング要素を用いて、制御器(より具体的には、状態フィードバック)設計を行う手法についても考える。とくに、スケーリング要素の探索に関して、標本依存の線形行列不等式(LMI)を解くことにより(標本の数だけ)得られるスケーリング要素の数値解を用いて、関連する確率的スケーリング要素の累積分布関数をなんらかの形で与えることを考える。このようにして与えられたスケーリング要素を用いて解析に関する保守性を低減しつつ、さらに系を安定化するような制御器を設計することができれば、(離散時間)確率系に対してよりよい制御が達成できると期待される。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 2017

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 確率的Dスケーリングに基づく安定解析に関する考察2018

    • Author(s)
      柳楽勇士
    • Organizer
      第5回計測自動制御学会制御部門マルチシンポジウム
  • [Presentation] The lp induced norm and the small-gain theorem for discrete-time stochastic systems2018

    • Author(s)
      柳楽勇士
    • Organizer
      The 16th European Control Conference
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 離散時間確率系のlp誘導ノルムとスモールゲイン定理2017

    • Author(s)
      柳楽勇士
    • Organizer
      計測自動制御学会制御部門制御理論部会制御理論合宿2017
  • [Presentation] 一般的な入出力系の因果性に関する考察2017

    • Author(s)
      柳楽勇士
    • Organizer
      第60回自動制御連合講演会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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