2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J05822
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千野 遥 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | オートファジー / 選択的基質 / 小胞体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、選択的オートファジーの新規の基質を同定することを通して選択的オートファジーの生理的意義を解明することを目的としている。オートファジーは飢餓で誘導され、エネルギー供給のために細胞質成分を非選択的に分解するバルク分解系と考えられてきたが、特定のタンパク質や細胞内小器官が選択的にオートファジーで分解されることが知られてきた。 この選択的オートファジーにより細胞内恒常性が維持されている。新規の選択的基質を同定することは選択的オートファジーの理解を深める。選択的基質がオートファゴソーム膜上のタンパク質であるLC3とLC3結合部位依存的に結合する性質に着目し、これまでにLC3結合部位認識不全体と野生型の結合差分解析を行い、新規の選択的基質を同定することに成功している。新規基質は小胞体膜タンパク質であり、飢餓時にオートファジー依存的にリソソームで分解され、オートファジー欠損組織で蓄積することを明らかにしている。 新規基質は小胞体タンパク質でLC3結合部位を有しオートファゴソーム上へ誘導されることから、オートファジーによる小胞体分解との関連を検証した。新規選択的基質の発現抑制により小胞体分解は抑制された。また、既に報告されている小胞体分解を介在するアダプターに加えて新規基質の発現抑制を行うと、完全に小胞体分解が阻害された。このことから新規基質は小胞体分解を介在するアダプター機能を担っていることが分かった。 現在、新規基質の個体内でのオートファジー分解の生理的意義を解明するべく動物モデルを作製しており、今後はこの解析を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにスクリーニングが終了し、新規の選択的基質を同定することに成功している。 また、この基質のオートファジー分解における意義も明らかにすることができている。 このことは当初の計画書通りのペースで進んでいることから、本研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に同定した新規基質がオートファジーによる小胞体分解を介在するアダプターであることが分かった。既に報告されている他の小胞体分解アダプターが介在する小胞体分解と新規基質の介在する小胞体分解が細胞内でどのように作用しているのかを各アダプタータンパク質のノックアウト細胞を作製し、その表現型を比較することで解析する。 また、新規基質が介在する小胞体分解が、個体内でどのような生理的意義を有するのかを検証するために動物モデルを用いて解析を行う予定である。既にマウスモデルの作製は成功しており、全組織の観察を予定している。更に、新規基質の細胞内動態の詳細な解析を生細胞観察を用いて行い、得られたデータをまとめ論文投稿を行う予定である。
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Research Products
(3 results)