2017 Fiscal Year Annual Research Report
後期旧石器集団の領域と遊動:石刃の3D情報分析とGIS分析の統合的研究
Project/Area Number |
17J06304
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邊 玲 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | 後期旧石器時代前半期 / 石刃石器群 / 三次元形態分析 / 行動論 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、対象資料の三次元計測、後期旧石器時代前半期に相当する関東地方の群馬県後田遺跡(群馬県埋蔵文化財調査事業団所蔵)および周辺遺跡の石刃および接合資料の三次元計測を進めた。また当初の予定とは異なるが、後期旧石器時代後半期に相当する東北地方の東山系石刃石器群(高倉山遺跡、お仲間林遺跡)の計測と分析も進めている。これは次の分析手法の見直しのためである。 2、三次元形態分析手法の見直し、本研究の骨子である3Dモデルに基づき石器形態の器械的機能を評価する際の基準について再検討を行った。これは、当初の実施計画には無い分析であるが、本研究遂行において極めて重要であるため計画を変更し実施した。 具体的には石器形態の遺跡間変異を評価する基準について、当初予定していた(1)本研究で三次元計測・分析した資料から導き出した統計的な代表値による評価から、(2)使用痕分析研究などを参照し旧石器資料に不足する動的情報を重み付けした上での評価へと変更する。以上の変更をふまえて、東山系石刃石器群の計測結果を用いて新たな評価手法での分析を行い、評価基準策定への見通しを得た。その成果を国内学会のポスター発表にて報告した。 3、資料の集成、資料の集成は修士論文で既に行っているが、新出資料を加えて地域細別編年を再検討した。その成果については、学内学会(2018年度4月)で発表する予定である。2017年度は北関東の後田段階の資料の計測を進めたが、資料集成の結果を踏まえ、次年度以降の三次元計測リストに武蔵野台地北部の新出資料、同時期の別系統石器群に想定される東北から下総にかけての珪質頁岩石器群を加える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主たる対象資料である関東地方の石刃石器群の分析事例の蓄積は、概要の2に示した分析手法の見直しにより、当初の計画より停滞している。しかし、分析手法の見直しは本研究遂行において極めて重要な変更であり、分析手法の確立については当初の予定よりも進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1、対象資料の三次元計測、2017年度の関東地方の原産地資料の資料の計測と分析結果をふまえ、今後は消費地遺跡の計測を進める。加えて資料集成の結果をふまえ、東北地方の前半期石刃石器群、後半期の東山系石刃石器群の計測も進める。2017年度は各遺跡全資料の悉皆的な計測を進めたが、上記研究計画の変更に伴い、選択的な資料計測を進める。 2.分析手法の確立、計測・分析資料を蓄積し、2017年度の指標をふまえ遺跡間変異を評価する基準を検証する。 3.地域間比較と通時的比較、2017年の資料集成結果を踏まえ、関東・東北地方の研究状況、遺跡規模の違いを考慮し、1の計測・分析結果をふまえながら、既存の報告データから遺跡内分布、遺跡間比較のGIS分析を進める。
|