2017 Fiscal Year Annual Research Report
The efficacy of mindfulness training for parents on their children's depression
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17J06446
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
水崎 優希 関西学院大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | マインドフルネス / 養育者 / 精神的健康 / 子供 / うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
子供のうつ病への対策が急務である。児童の2~4%はうつ病の診断基準に該当し (佐藤,嶋田, 2006),一般児童の10%以上がうつ症状を呈している (佐藤他,2006)。うつ症状の強い子供は学業不振や学校不適応に陥ったり,友人関係のトラブルを多く抱えていたりすることが報告されている (佐藤,2008)。 子供のうつ病に対する心理療法の第一選択肢は認知行動療法である (Weersing et al., 2016)。そして,養育者の精神的健康が良好であることは,子供の認知行動療法の治療効果を促進させる重大な要因である (Brent et al., 2015)。以上のことから,養育者の精神的健康を向上させることは,子供のうつ病治療に有効であるといえる。しかしながら,子供のうつ病治療を目的とした養育者に対する心理学的支援は見受けられない。 マインドフルネスは,養育者の精神的健康を向上させ,子供のうつ症状を減少させることが指摘されている (Parent et al., 2011)。マインドフルネスには自分自身に注意を向ける個人内マインドフルネスと,子供や親子関係といった,他者に関わる対人マインドフルネスが存在する (Duncan, 2007)。養育者のみならず,子供に対してもマインドフルな気付きを向けることが,子育てにおけるマインドフルネス (mindful parenting; 以下,マインドフルな子育て) の特徴である。しかしながら,このようなマインドフルな子育てを測定する尺度は不足している。 そこで平成29年度は,マインドフルな子育て尺度の開発と,養育者の精神的健康向上を目的としたマインドフルネス・トレーニングの予備的な介入研究を主に行った。その結果,5因子25項目のマインドフルな子育て尺度が完成した。介入研究では,養育者のストレス反応の低減が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の基礎研究の部分についてデータを収集し,分析を行い,論文の執筆を行った。マインドフルな子育て尺度論文は査読誌に投稿し,ウェブ上で早期公開されている。本研究での介入指標になる親の体験の回避尺度の開発に関する論文は学内の紀要に投稿し,掲載済みである。加えて,学外の紀要論文にも臨床心理学的援助に関わる事例論文を投稿し,採択されている。国内の学会発表を行って本研究の成果を積極的に発信した。さらに,成果を国外に発信するために,まとめたデータを2件国際学会の年次大会に提出した。そのうち1件は査読を経て採択済みであり,次年度の発表が内定している。 基礎研究については,当初の研究計画よりも対象者を拡大したため,データの収集に時間を要している。しかしながら,次年度にデータ収集を行うための準備を行っている。介入研究については,介入プログラムを開発し,小規模な予備的研究において養育者の精神的健康の改善を示唆する結果が得られた。次年度の介入研究に向けてプログラムの改善点を検討している段階である。 以上のことから,平成29年度における研究進捗状況は全体的に見ておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,基礎研究を完遂させるとともに介入研究のプログラムを完成させることを計画している。引き続き,得られたデータをもとに論文を執筆し,査読誌へ投稿する。平成29年度の介入研究では,養育者の精神的健康の改善に焦点を当てており,子供の適応がどう変化したか詳細に検討していなかった。平成30年度では,プログラムの修正・改善を行うとともに,養育者がプログラムを受けたことによる子供の変化についても検討していく。さらに,引き続き国内外で学会発表を精力的に行い,本研究の成果を発信していく予定である。
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Research Products
(4 results)