2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J07629
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星野 里奈 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 陽葉 / 葉の厚さ / 光応答 / 発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.陽葉と陰葉の組織学的解析 これまで成熟した葉の観察から、葉の向背軸方向の発達の違いにより、葉の厚い陽葉と薄い陰葉が形成されることは知られていた。今回はこれらの形成過程を明らかにするため、野生型のシロイヌナズナを用いて発生中の葉原基の観察と形態測定を行なった。細胞層数、細胞投射面積、細胞形態を定量したところ、播種後5日目から陽葉・陰葉間で形態的な明瞭な違いがみられた。また、葉の向背軸方向の発生を、陽葉にのみ見られる極性成長と、陰葉・陽葉に共通して見られる肥大成長に区分し、それぞれでの形態的な特徴を記載した。所属研究室によって作出された青色光受容体の多重変異体では、強光下でも葉が薄くなることを発見している。この変異体の表現型異常の原因を特定するため、発生過程の観察を行なったところ、野生型と比べ変異体では強光下では次第に細胞の極性成長のみが抑圧されていく様子が観察された。この結果から、これらの青色光受容体が強光下で協調することで、細胞の向背軸方向の細胞伸長を促進し、陽葉の形成に寄与していることが示唆された。 2.細胞分裂方向と分裂活性の解析 陽葉で特徴的な並層方向の細胞分裂は、細胞層数を増やすことで葉厚過程に大きく寄与している。しかし、葉の分裂活性の解析において、これまで並層方向の分裂を評価した報告はない。そこで、葉原基での細胞分裂測定を行なったところ、播種後7日目に並層分裂が活性化していることが分かった。さらに高精度の解析のため、EdUパルス-チェイス法を用い、その条件検討とサンプルリングを行なった。 3.遺伝子発現解析 陽葉と陰葉形成でそれぞれ働く遺伝子動態を明らかにするため、網羅的な遺伝子発現解析を企画している。本年度は発現解析用のサンプルを採取まで完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていた形態学的な解析は、変異体も含めて十分に遂行できた。また、本年度予定していた分裂解析と遺伝子発現解析は、サンプルの採取まで完了しているため、次年度は速やかに実験が遂行できる状態まで進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、陽葉が多段階的な発生を経て陰葉よりも厚くなることを発見し、その変化が起こる組織や時期を推定できた。この変化を誘導する因子を探索するため、各発生過程の葉を用いた遺伝子発現の比較解析を行なう予定である。さらに、葉の厚さに異常の見られる青色光受容体の多重変異体もこの解析に用いる予定だ。また、現在はこれまでの結果をまとめた論文を国際科学雑誌へ投稿するための準備を進めている。
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Research Products
(1 results)