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2017 Fiscal Year Annual Research Report

畜舎内バイオエアロゾル濃度低減化技術の開発

Research Project

Project/Area Number 17J07848
Research InstitutionTokyo University of Agriculture and Technology

Principal Investigator

名出 貴紀  東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2019-03-31
Keywordsエアロゾル / 空気中微生物 / ウイルス
Outline of Annual Research Achievements

家畜のウイルス感染症は感染動物や汚染媒介物を介して農場に侵入するほか、エアロゾルを介して空気伝播する場合も指摘されており、微生物・ウイルスを含む畜舎内エアロゾル(バイオエアロゾル)の制御が農場のバイオセキュリティ上重要な要因の一つとなる。しかし、空気中ウイルス濃度測定は採材して培養・分析するため1日以上経ってから濃度が判明することからタイムラグがある。バイオエアロゾル濃度と空気中ウイルス濃度の関係を明らかにすることが可能になれば、リアルタイムで濃度がわかるバイオエアロゾル濃度を指標として空気中ウイルス濃度が測定可能となり、それを用いてリアルタイムでの空気衛生環境制御が可能となる。そこで本研究は、バイオエアロゾル濃度を指標とした空気中ウイルス濃度の推定法とその推定法を利用したバイオエアロゾル濃度低減法の開発することを目的とした。
疾病にかかりやすい離乳ステージの閉鎖型豚舎を対象として、複数の農場にて空気中ウイルスの採材とバイオエアロゾル濃度の測定を行った。空気中ウイルス濃度を明らかにするために、リアルタイムPCRによるウイルス遺伝子の定量系を確立する。対象ウイルスは申請者が検証した既往の研究から、空気衛生指標になりうると考えられる豚サペロウイルス(PSV)とした。また、リボヌクレアーゼ(RNase)処理により感染価のあるウイルスの定量法を確立する。定量化した空気中ウイルス濃度とエアロゾル濃度の相関関係を明らかにし、バイオエアロゾル濃度を指標とした空気中PSV濃度推定法の確立を行った。
その後、バイオエアロゾル濃度を指標とした空気中ウイルス濃度の推定法よりリアルタイムで測定を行い、空気中ウイルス濃度が定めた閾値になった際に弱酸性水噴霧を行うことで、畜舎内バイオエアロゾル濃度・空気中ウイルス濃度を低減させることを目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計3ヵ所の商用養豚農場の離乳豚舎(開放型、閉鎖型)を対象として、エアロゾル個数濃度、一般生菌濃度、ブドウ球菌濃度、大腸菌濃度、空気衛生指標ウイルスとして豚サペロウイルス濃度の測定を行い、各粒径のバイオエアロゾル濃度とウイルスを含む空気中微生物濃度の相関関係を明らかにした。その結果、粒径5.0-10.0μmのバイオエアロゾル濃度と一般生菌濃度に最も強い相関が見られた(R=0.67, p<0.01)。また、粒径2.0-10.0μmのバイオエアロゾル濃度とブドウ球菌濃度に最も強い相関が見られた(R=0.61, p<0.01)。一方、空気中大腸菌濃度とバイオエアロゾル濃度には相関が見られなかった。
空気衛生指標として用いた空気中の豚サペロウイルス濃度とバイオエアロゾル濃度の間には相関が見られなかったため、バイオエアロゾル濃度を指標とした豚サペロウイルス濃度の定量化は困難であった。そこで、感染リスクを減らすため豚サペロウイルスの検出率が高くなるバイオエアロゾル濃度の閾値を調べたところ、粒径2.0-5.0 μmのエアロゾルにおいて濃度が10^6(個数/m^3)以上の時、PSV検出率が最も高かった(66.7%)。そのため、感染リスクを低減するには粒径2.0-5.0μmのエアロゾル濃度が10^6 (個数/m^3)以上にならないように制御することが必要となることが示唆された。
また、RNase処理により、処理前と比べてPSV遺伝子の減少が見られたため、感染価のあるウイルス定量の可能性が示唆された。しかし、RNase処理前で検出限界以下であったがRNase処理後によりPSV遺伝子が検出された検体もあり、原因は解明中である。

Strategy for Future Research Activity

商用農場の閉鎖型離乳豚舎を対象に空気中ウイルス濃度を低減するため、噴霧による病原微生物を含む微生物が付着したバイオエアロゾル濃度低減効果を明らかにする。噴霧資材は感染実験施設内での試験にて空気中及び落下微生物濃度の低減効果が見られた弱酸性水(OSGコーポレーション,セリウス)を用いる。バイオエアロゾル濃度を指標とした空気中ウイルス濃度の推定法よりリアルタイムで測定を行い、空気中ウイルス濃度が定めた閾値になった際に弱酸性水噴霧を行うことで、畜舎内バイオエアロゾル濃度を低減させることを目指す。しかし、前年度の結果よりバイオエアロゾル濃度と空気中PSV濃度には明確な相関関係が見られなかった。そのため、感染リスクを減らすため豚サペロウイルスの検出率が高くなるバイオエアロゾル濃度の閾値を調べたところ、粒径2.0-5.0 μmのエアロゾルにおいて濃度が10^6(個数/m^3)以上の時、PSV検出率が最も高かったことから、粒径2.0-5.0μmのバイオエアロゾル濃度が10^6(個数/m^3)以上にならないように弱酸性水噴霧により制御を行う。
試験区と対照区にて、ウイルスを含む空気中微生物濃度とバイオエアロゾル濃度を比較し、弱酸性水噴霧による畜舎内のバイオエアロゾル濃度低減効果を明らかにする。また、噴霧による豚の飼育状況・飼育環境(温度・湿度)に影響が出るか確認し、適切な噴霧条件(噴霧量・噴霧時間・噴霧粒径)を検討する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 離乳豚舎におけるエアロゾル濃度と豚サペロウイルスを含めた空気中微生物濃度の関係2018

    • Author(s)
      名出貴紀
    • Organizer
      農業施設学会 学生・若手研究発表会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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