2018 Fiscal Year Annual Research Report
Efficient methods for nonsmooth quasiconvex optimization with complicated constraints based on fixed point theory
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17J09220
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
菱沼 和弘 明治大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 準凸最適化 / 不動点近似法 / Cobb-Douglas 生産効率問題 / 分数計画問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
経済学、工学、経営科学等の分野に於いては、準凸関数と呼ばれる、よく研究されている凸関数の範疇にない目的関数についての最適化問題が扱われている。本研究は、この準凸関数最適化のうち、難解複雑な制約をも表現することのできる不動点制約付き問題を、より高速に、理論的収束保証を付して解くことが可能な算法の実現を目指す。
【イ)不動点制約付き準凸最適化算法の開発】本年度は、初年度の研究に於いて難解複雑な制約を伴う非平滑準凸最適化に対する問題解決の突破口として立案した、Krasnosel'skii-Mann 型不動点近似法に基づく最適化算法について、①算法の構成、②収束性の理論解析、③計算機による数値的検証を行い、これらを論文として纏め、論文誌に投稿した。同時に収束性の理論解析も行い、算法がその許容誤差を任意に設定して近似解を求めるための十分条件、および算法が最適解へ収束する点列を生成する、すなわち実際に難解複雑な制約を伴う非平滑準凸最適化問題を解くための十分条件を提示した。 【ロ)算法の現実的工学的応用に於ける問題解決】提案手法のCobb-Douglas 生産効率問題への適用と検証を行った。本研究課題の成果たる提案手法は、このCobb-Douglas 生産効率問題について、従来手法と比較して非常に効率的に良い解を得ること可能なことを確認できた。 【ハ)その他】本研究は、平成30年度を以って終了した科学研究費助成事業『大規模かつ複雑なネットワーク上の資源を高速に割り当てるための分散型不動点劣勾配法 (課題番号: JP15K04763)』に引き続き、受入研究者を研究代表者とする科学研究費助成事業『確率的不動点最適化アルゴリズムとアンサンブル学習への応用 (課題番号: JP 18K11184)』と相互に発展し展開すべく共同研究を遂行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【イ)不動点制約付き準凸最適化算法の開発】本年度は、初年度の研究に於いて難解複雑な制約を伴う非平滑準凸最適化に対する問題解決の突破口として立案した、Krasnosel'skii-Mann 型不動点近似法に基づく最適化算法について、①算法の構成、②収束性の理論解析、③計算機による数値的検証を行い、これらを論文として纏め、論文誌に投稿した。この成果は、論文誌への投稿や国際会議での発表のみならず、受入研究者ウェブサイト上でPython による実装を公開し、当該分野全体での研究の深化に貢献するとともに、広く社会へ還元し活用できるべく作業を進めた。収束性の理論解析結果については、論文として現在投稿中であり、並行して収束率等を含むさらなる詳細な解析も引き続き遂行している。 【ロ)算法の現実的工学的応用に於ける問題解決】難解複雑な制約下に於いて準凸関数を最適化する、Cobb-Douglas 生産効率問題[Section 6, Y.Hu, et al. (2015)]は、ある生産活動について、算法を適用し、その性能評価を実施した。この評価は、既存の研究に於いて行われたものよりもより詳細な検証も含み、提案手法の性能検討のみならず、準凸最適化に関する新たな課題や応用事例の発見にも繋がった。 【ハ)その他】科学研究費助成事業『確率的不動点最適化アルゴリズムとアンサンブル学習への応用 (課題番号: JP 18K11184)』について、本年度に於いてもいくつかの研究に関して技術協力等を行い、またその過程に於いて準凸最適化算法の新たな応用事例について模索した。
以上より、本年度に於いては本研究課題に対する一つの解決策の提案に成功し、さらに当初の計画を超える研究の深化への着手を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、現在までの研究に於いて開発に成功した、Krasnosel'skii-Mann 型不動点近似アルゴリズムに基づく不動点制約付き準凸最適化アルゴリズムに対し、その理論的および実験的性能の精査、並列計算を用いた高効率高速化拡張の提案、およびさらなる難解複雑な制約に対応したアルゴリズムの開発を実施し、本研究の最終的な完成を目指すべく推進する。 上記実現のため、引き続き(1)アルゴリズムの具体的設計、(2)その数学的収束性の解析、(3)計算機実験による性能評価、の3つを順に遂行し、手法のさらなる改良と深化を図る。(1)においては、現在までの研究で得られた不動点制約付き準凸最適化アルゴリズムに、既存の分散・並列型最適化アルゴリズムを吟味した上で、それらの手法を組み込み、より高性能高機能なアルゴリズムを構築する。加えて、(1)で設計したアルゴリズムに対し、(2)および(3)による多角的検証を行うことで、理論的解析及び実験的評価を堅固に付したアルゴリズムの提示を目指す。 この研究方策は、現在までの研究で得られた不動点制約付き準凸最適化アルゴリズムについて、数学的および計算機科学的観点から、計算の効率化および高速化に関する試行および検証を行い、継続的な改良および本研究の最終的な成果の総括を図るものである。そのために研究は、理論解析及び計算機実験の両面から多角的に考察し、遂行する。成果は、国内外での学会発表および学術論文誌への論文投稿による公表にとどまらず、受入機関および申請者ウェブサイトにおいても広く利用可能とすべく積極的に公開する。さらに、研究成果たるアルゴリズムは研究者のみならず、一般の計算機技術者や数理最適化に関する応用事業等で幅広く活用できるよう、ソースコードリポジトリ等を用いて再利用可能な形で提供し、本研究の成果が我が国および世界の産業発展に寄与すべく貢献する。
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Research Products
(6 results)