2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J09837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 雄仁 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 神経発生 / 細胞周期 / 細胞運命制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
成体の様々な組織には組織幹細胞が存在し、生涯に渡り分化細胞を供給する。これら成体組織幹細胞の多くは、分裂を抑制した静止状態をとることが知られている。静止状態は、様々な成体組織幹細胞で共通に見られる性質であるが、その意義については必ずしも明らかではない。成体哺乳類の脳にも神経幹細胞が存在し、静止状態を保つことで長期維持される。興味深いことに我々は、その発生起源として、胎生期から既にゆっくり分裂する細胞集団を同定した。更にこれら胎生期起源細胞は、成体神経幹細胞の分裂抑制を担うCDK阻害因子p57を高発現し、未分化なまま長期維持されることを見出した。そこで本研究ではp57下流のメカニズムの探索を通じ、神経幹細胞における分裂抑制の新たな意義を明らかにすることを目的とした。
これまでp57過剰発現による下流遺伝子発現解析の結果から、未分化性の維持に貢献する候補因子の同定を行った。また、それら因子が胎生期起源細胞において高発現することを見出した。現在は、成体神経幹細胞の形成への寄与について検討を行っている。
本研究を通じて、神経幹細胞の分裂頻度の制御とその下流での未分化性の維持のつながりを分子レベルで明かすことができれば、幹細胞の基本的な性質を繋ぐこととなり非常に意義深いと考える。また神経幹細胞にとどまらずその他の組織幹細胞においても同様の機構が働いている可能性があり、幹細胞生物学全般においても意義がある仕事になりうると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、細胞周期の抑制により未分化性が維持されるメカニズムの検討を行っており、候補因子を同定した。現在その因子が成体神経幹細胞の形成に重要な役割を果たすかの検討を行っており、次年度にはその必要十分性を見ることができることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに同定している下流候補因子について、ノックアウトマウスの解析およびノックダウンや過剰発現を行うことで、成体神経幹細胞の形成維持に貢献するか検討を行うつもりである。また、詳細な下流メカニズムの解析を行うために、網羅的遺伝子発現解析や、神経幹細胞の培養細胞系でも実験を行う予定である。
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