2017 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌由来の不飽和脂肪酸代謝産物による皮膚免疫修飾作用の解明
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17J10049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 由貴 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 乳酸菌代謝産物 / 不飽和脂肪酸 / 尋常性乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
DC1応募時に、研究期間中に以下の項目の達成を目的とした。 1.接触皮膚炎モデルマウスにおけるHYA・KetoAの炎症抑制作用の検証(平成28年度)2.HYA・KetoAのターゲット細胞の同定と炎症抑制作用の分子メカニズムの解明(平成28、29年度)3.HYA・KetoA投与時の免疫細胞の動態変化・細胞同士の相互作用のイメージング(平成28、29年度)4.アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬モデルマウスにおけるHYA・KetoAの炎症抑制作用の解明(平成30年度) 以下にそれぞれの目的に対する実施状況ならびに追加研究項目6の成果を示す。尚、2-4に関しては1において有意な結果が得られなかったため実施できていないため省略する。 1. 接触皮膚炎モデルマウスにおけるHYA, KetoAの炎症抑制作用の検証…リノール酸より代謝産生されるHYA、KetoA、の接触皮膚炎モデルにおける効果を検討した。HYA投与群においては耳介厚のわずかな低下傾向は認めたが、IFN-gの産生能については差を認めなかった。投与量の増加、投与方法の変更(腹腔内投与、直接塗布)など条件検討を行ったが、いずれも有意な実験結果は得られなかった。よってマウス接触皮膚炎モデルにおけるHYA、KetoAの炎症抑制作用は明らかでないと考えた。 6.尋常性乾癬モデルにおける乳酸菌由来の不飽和脂肪酸代謝産物の効果検討…リノール酸およびαリノレン酸よりそれぞれ代謝産生されるHYA、KetoA、αHYA、αKetoAのイミキモドによる尋常性乾癬様皮膚炎モデルにおける効果を検討した。4種類の不飽和脂肪酸代謝産物のうち、αKetoAを投与した群においてのみ、耳介厚増加の有意な抑制効果を認めた。加えて臨床所見としても他の群に比べて、紅斑、鱗屑の程度が減少していた。さらにαKetoAの耳介肥厚抑制効果は容量依存性であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳酸菌由来の不飽和脂肪酸代謝産物による皮膚免疫修飾作用の解明について研究を進めたが、当初期待されていた接触皮膚炎モデルにおける乳酸菌由来不飽和脂肪酸代謝産物の抗炎症作用は明らかではなかった。そのため、別の皮膚炎モデルである尋常性乾癬モデルにおいて検討を行い、αリノレン酸由来のαKetoAが尋常性乾癬モデルにおいて皮膚炎の抑制効果を示唆する結果を得た。現在はその分子メカニズムについて検討を行っている。 以上よりやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
αKetoAが尋常性乾癬モデルにおいてどのように抑制作用を示しているのか、メカニズムを解明するために、皮膚組織の観察(表皮肥厚や好中球などの炎症細胞浸潤の評価)および、免疫細胞の数や活性化の程度の変化、IL-17、IL-22などの乾癬特異的な各種サイトカインの産生変化を評価を予定している。
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Research Products
(2 results)