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2017 Fiscal Year Annual Research Report

南極周回気球実験JACEEの全面自動読取による反重陽子探索

Research Project

Project/Area Number 17J11236
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

森下 美沙希  名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywords原子核乾板 / 自動読取 / 対消滅 / 気球実験
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、過去に南極周回気球実験に使われたJACEEの原子核乾板を用いることで、100MeV以下の低エネルギー領域での宇宙反重陽子探索を行うことを目的としている。そのため、本年度は名古屋大学に保管されていたJACEE13の乾板を、同じく名古屋大学で開発された原子核乾板に記録された粒子の飛跡を自動で読み出すことができる、高速自動読取装置(Hyper Track Selector(HTS))を使用し、記録されている飛跡の自動読出しを行った。JACEEの乾板をHTSで読み出すことは初めての試みである。そのため、効率よく飛跡を読み出すための、読出しパラメータの決定を行う必要がある。この読出しパラメータの決定によって、HTSによる飛跡の読出し効率は8割程度が得られている。ただし、この読出し効率は、乾板の乳剤の厚みに依存し、薄ければ薄いほど悪くなっていく。また、乳剤が薄い乾板は、HTSで読み取ることのできる飛跡の角度が小さくなる。現在名古屋大学に保管されているJACEEの原子核乾板は、厚みが観測当時の半分ほどになっている。この厚みを、グリセリン溶液を使った膨潤処理によって観測当時と同程度の厚みに戻すことで、自動読取による読み落としを少なく、また、乾板の垂直方向に対して大きな角度を持って入射してきた粒子の飛跡も読み出すことができると考えている。現在の乾板の厚みでは、天頂角で45度までの飛跡を読み出すことができている。しかし、対消滅によって生成される二次粒子は4π方向にランダムに放出されるため、以降の自動読取では、乾板の厚みを観測当時に戻してから飛跡の自動読取を行い、更に広い角度領域で飛跡を読み出す予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度では名古屋大学保管されていたJACEE13の原子核乾板を全て読み出す計画であったが、実際に読み出すことができた乾板は4枚のみである。これは、全ての乾板を一度に読み出すのではなく、この4枚でまず読出しのパラメータ決定を行ったためである。JACEEの乾板は、普段から見慣れていたその他の実験の原子核乾板よりもはるかに多くの飛跡が蓄積されており、また過去の乾板ということもあり、乳剤の厚みむらがあるなど、自動読取には不利な点もあったため、できる限りよい効率で読み出すためのパラメータチューニングに時間がかかったため。

Strategy for Future Research Activity

名古屋大学に保管されている乾板は総じて厚みが非常に薄いため、膨潤処理を行い観測当時の厚みになるように調整する。その上で、再度自動読取装置による読出しを行う。読出しの際には、天頂角で約70度までの飛跡を読み出すことを目標とする。
その読出しと同時並行で、乾板内の対消滅点の探索も行っていく。この対消滅が反陽子によるものか、反重陽子によるものかの区別は、飛跡の電離損失から質量同定を行う必要があるが、そのためには対消滅に伴う飛跡の運動量を精度よく決定する必要がある。この手法の開発には、JACEEの乾板ではなく、同じく気球実験に使用された乾板でJACEEよりも性能の良いGRAINE (Gamma-Ray Astro-Imager with Nuclear Emulsion Project)計画で使用された乾板を用いる。運動量測定手法は、まず性能の良い乾板で開発・検証を行い、それをJACEEの乾板に適用していく。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] GRAINE計画:2015年豪州気球実験フライトデータによる東西効果の測定2018

    • Author(s)
      森下 美沙希
    • Organizer
      外部太陽圏とピックアップイオン」および「太陽地球環境と宇宙線モジュレーション」「太陽圏・宇宙線関連の共同研究成果報告会」
  • [Presentation] GRAINE計画:2015年豪州気球実験フライトデータによる東西効果の測定2018

    • Author(s)
      森下 美沙希
    • Organizer
      第73回物理学会年次大会(2018)

URL: 

Published: 2018-12-17  

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