2019 Fiscal Year Annual Research Report
没食子酸エピガロカテキンの効率的デリバリーを可能とするバイオマテリアルの開発
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17J40043
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
新田 祥子 福山大学, 生命工学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2021-03-31
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Keywords | 没食子酸エピガロカテキン / 酵素触媒重合 / 抗酸化活性 / 皮膚透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用1、2年目に取り組んでいたPolyEGCGは、優れた生体適合性や長期にわたる抗酸化活性を示した一方、成形性に乏しいという問題が生じていた。そこでPolyEGCGの成形性を向上させることを目的に、これまでの疎水性リンカーに代わり、親水性リンカー(Tetra ethylene glycol)を用いてPoly(EGCG-TEG)を新規合成した。種々の反応条件が得られるPoly(EGCG-TEG)の分子量に与える影響について検討したところ、反応時間や溶媒量、触媒量、モノマー仕込み比等がPoly(EGCG-TEG)の分子量に影響を与えることがわかった。また、膨潤率が比較的低く硬い性質を持つPolyEGCGと比べて、Poly(EGCG-TEG)は柔軟性に富んだエラストマー様素材であった。 Poly(EGCG-TEG)の分解性を評価したところ、種々のpH条件下においてPoly(EGCG-TEG)が分解するのに伴い、EGCGが徐々に放出されることがわかった。また、Poly(EGCG-TEG)から放出したEGCGは数日間にわたり十分な抗酸化活性を示すことがわかった。 Poly(EGCG-TEG)の経皮薬としての応用を目指し、皮膚モデルを用いてPoly(EGCG-TEG)から放出されるEGCGの皮膚透過性を評価した。すると皮膚と同等の弱酸性条件下においてPoly(EGCG-TEG)の分解に伴い放出したEGCGが徐々に皮膚様フィルムを透過することがわかった。 このように、Poly(EGCG-TEG)は、生理活性条件下における分解に伴い持続的に抗酸化作用をもたらす新たな経皮薬としての性質を有することが見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子設計を見直し、新たなカテキンを基本骨格に有するポリマーを合成することで、採用一年目に合成したカテキン由来ポリマーの問題点を克服することができた。また、長期にわたり抗酸化活性を示す新たな経皮薬としての利用を目指すべく、分解挙動の解析や皮膚透過性に関する知見を得ることができた。 以上の成果から、最終目標である没食子酸エピガロカテキンの効率的デリバリー法構築に向けて順調に研究が進捗したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
カテキン由来由来ポリマーの成形性に着目し、フィルムや粒子など様々な形状の成形を試みる。また形状の違いによる生理活性の影響を評価する。
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