2017 Fiscal Year Research-status Report
省メモリ下における計算の効率化と基本的諸特性の理論的解明
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17K00025
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Research Institution | Tokuyama College of Technology |
Principal Investigator |
義永 常宏 徳山工業高等専門学校, 情報電子工学科, 教授 (50158482)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 交代性計算 / 同期型交代性計算 / 非決定性計算 / 有限オートマトン / マルチカウンタマシン / 領域計算量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,入力データサイズに比べて作業ディスク容量が極めて少ないコンピュータを想定し,超大な入力データをごく限られた作業領域量で処理する際の効率化と諸特性について,数理マシンモデルを用いて理論的に解明することを目的とする. 一般に,決定性計算では,状態遷移が一意的であり,通常のコンピュータの直列計算に相当する.また,その拡張である交代性計算では,マシンの状態が“存在状態”と“全称状態”の2種類に分類され,存在状態では,マシンはその複数のコピーを生成し,その中の1つを非決定的に選択・実行する.これはよく知られている非決定性計算と同等である.一方,全称分岐では,マシンは生成したコピーの全てを選択し,“並列”に実行する.なお,通常の交代性計算では並列に動作するマシン間の同期は取れないが,同期機能を付与した同期型交代性計算があり,有限オートマトン(以下FA)においては,決定性,非決定性,交代性のいずれも計算能力は等価であるが,同期型交代性では計算能力が向上することが知られている. 当該年度では,マシンモデルとして,FA(限られた一定の作業領域量)とFAに複数のカウンタを付加したマルチカウンタマシン(以下MCM)を用い,同期型交代性FAでは受理できるが,非決定性MCMおよび全称状態のみの交代性MCMでは受理できない言語が存在することを示した.ここで,カウンタとは領域量は無制限であるが,格納記号が1種類に限定されたプッシュダウンストアのことである.よって,限られた作業領域量における並列計算および並列動作中のマシン間の同期の有用性について,部分的にではあるが,理論的に示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マシンモデルとして,有限オートマンとマルチカウンタマシンを用いて,同期型交代性計算導入による計算能力の向上を示すことにより,作業領域量が限定された中での並列計算および並列動作中のマシン間の同期の有用性について部分的に示すことができた. しかしながら,上記マシンは制約の多いモデルであり,より一般的なモデルである,作業領域量が入力サイズの対数以下のオーダに制限されたチューリングマシンによる結果には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究を継続する.修正・改良を加えながら,これまでの結果をより一般的な形に展開すると共に,並列計算中のマシンの数と計算能力の関係,作業領域量の増減と計算能力の関係および1方向動作と2方向動作の計算能力の差異について考察を進める. 得られた結果は適宜発表していく予定である.
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Research Products
(1 results)