2020 Fiscal Year Research-status Report
実践的研究に基づく空振り率低減を主眼とした土砂災害警戒基準の提案
Project/Area Number |
17K01335
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
高原 利幸 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (20324098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 勝利 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (70232767)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 並列タンクモデル / 土壌雨量指数 / 土砂災害発生時の降雨パターン / 地質分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,捕捉率が10%程度しかなかった長雨で発生する土砂災害(長期小雨型)の捕捉率は,提案する並列タンクモデル指標によって30%以上に改善されるが確認された.しかし,融雪によると考えられる事象については,降雨や降雪との直接的な関係を見出すことが難しく,冬期の降雪時の観測を続けるための延長を申請していた.測定箇所は,融雪期に繰り返し地滑りを起こしている山間部の住宅地にある道路盛土部分である.しかし,2019年度は降雪がほぼなく,延長申請し,2020年度もコロナ禍において,十分な機器整備ができず,予定していたデータを全てを取得はできなかったため,再延長を申請したものである. しかし,不十分ながらも並列タンクモデルの改良に必要な測定データは部分的には取得できており,災害実績の蓄積と合わせて,2021年度は改良に十分なデータが取得できる見込みである.共同研究者による測定機器の改良も進んでおり,より安定した測定が可能となってきており,2021年度冬期のデータに収集には期待できる状況になっている. また,災害データの蓄積により,長雨で土砂災害が発生するような地層境界への地下水浸透による崩壊(長期小雨型)と,地表面から直接侵入した雨水による崖崩れ型(短期豪雨型)が発生しやすい地域を,地質・地形による分類を進めている.捕捉率だけでなく,的中率を短期豪雨災害型と同等の50%程度までの向上を見込んでいる. 今後,中間型と分類している「層厚が薄いため地層境界型であるが直接浸透型に近い降雨パターンで災害が発生する,またはその逆の場合」に対する精度の良い分類が課題であるが,これには次の助成課題で解決を目指している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年冬期から2020年度は,出張規制などのため,機器の整備が十分にできず,県外での計測データがほぼ得られない状況であり,それ以前のデータの整理も学生アルバイトを雇えないなどの状況から,この期間の進捗は見込を大きく下回った. しかし,研究期間の延長により,データ分析は自ら進めることができており,計測器の安定性向上に加え,計測地を県内にシフトさせ始めたことで,再々延長の2021年度当初としては概ね順調に進められる見込である.
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Strategy for Future Research Activity |
最終的には2021年度冬期の計測データも含めたいと考えているが,これまでの測定データと蓄積された災害データを合わせて,並列タンクモデルパラメータの調整を行い,長期小雨型の土砂災害に対する的中率向上を進める予定である.土壌雨量指数にかわる提案指標である並列タンクモデルパラメータの融雪による影響の取り入れ部分が積み残されていただけなので,新たな助成課題と関連してまとめる予定である.
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Causes of Carryover |
当初測定データの整理・分析を学生アルバイトによって実施し,屋外測定機器の部品交換やメンテナンスに7万円の残額を使用予定であったが,コロナ禍の影響で,学生アルバイトの雇用ができず,県外の測定現場等に部品交換などもいけなくなってしまったため,次年度使用額が生じた. 県内に測定箇所を移す計画を進め,アルバイトは雇わず,移設にかかる地盤調査器具の購入や,雨量データの購入,測定機器の消耗部品の購入に変更して2021年使用予定である.
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Research Products
(2 results)