2020 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical study of the effect of repetition of mini-public type deliberation on local governments in the deliberative system
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17K03567
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
前田 洋枝 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (70611094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠藤 明徳 別府大学, 文学部, 教授 (80310952)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 市民討議会 / 無作為抽出 / ミニ・パブリックス / 行政への影響 / 議会への影響 / 近隣自治体への影響 / インタビュー調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
無作為抽出により選出された市民が必要な情報提供を受けながら政策課題を討議する「ミニ・パブリックス」型の市民参加型会議の継続開催が、当該自治体内外の政策形成・意思決定関係者に及ぼす影響を明らかにすることが本研究の目的であった。 豊山町と伊予市の市(町)民討議会担当部局職員・討議テーマに関連する部局の職員、議員、地域団体の代表らにインタビュー調査を行なった。豊山町については、近隣自治体として岩倉市、大口町、扶桑町の総合計画や市民参加の担当部局職員にもインタビュー調査を行なった。 成果は大きく3点である。第1に、市(町)民討議会の継続開催が各アクターに及ぼした影響は、伊藤雅春(研究協力者)が検討した。関係者の市(町)民討議会に対する意識を3つの階層に分類し、実質的に市(町)民討議会を継続開催するためには市(町)民討議会に直接参加する職員・議員を増やすことが効果的であり、企画運営主体の自己組織化では各自治体の事情を反映した継続的な組織とすることの重要性を示した。第2に、職員・議員への影響は、伊予市と海外の事例を篠藤明徳(研究分担者)が比較検討した。市民討議会では議員・職員も一市民の立場で参加した。市民全体の意見に触れることで、住民全体の代表であるべき議員にも良い経験になっていた。職員は職務を通して接する時とは異なる市民の声を聞くことで気づきが多く、市民討議会が熟議システムという点で効果があったと示した。第3に、近隣自治体への影響は前田洋枝(研究代表者)が検討した。豊山町の後に市民討議会の開催を始めた自治体の担当職員は既に豊山町の町民討議会議担当職員とつながっていたことがスムーズな開催や熟議の意義の理解に大きく役立っていた。一方、未実施の自治体の職員は、市民討議会は政策課題を「熟議する」手法というより、課題解決の活動に市民の「参加」を促す手法という視点から評価していると明らかにした。
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Research Products
(11 results)