2017 Fiscal Year Research-status Report
膝蓋大腿関節症モデルラットの確立と力学的負荷がもたらす病理組織学的変化
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17K13051
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 郁文 金沢大学, 附属病院, 理学療法士 (30743835)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 膝蓋大腿関節 / 関節軟骨 / 滑膜 / 膝蓋下脂肪体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、薬物の関節内投与による変形性膝関節症(Osteoarthritis;以下OA)モデルラットを用いて、膝蓋大腿関節における関節軟骨、滑膜、膝蓋下脂肪体に生じる変化を病理組織学的に明らかにし、力学的負荷環境を変化させることで、膝蓋大腿関節におけるOA が発症および進行する機序を病理組織学的に明らかにすることである。 本年度は、ラット膝関節にモノヨード酢酸ナトリウム(Monosodium iodoacetate;以下MIA)を関節内投与することで膝蓋大腿関節における関節構成体の組織学的変化を調査することを目的として実験を行った。方法は、9週齢のWistar系雄性ラット(n = 60)に対して、両膝関節内にMIA0.2mgもしくは1.0mgを投与し、ラットOAモデルを作成した。実験期間を3日、1週、2週、4週、8週、12週とし、各飼育期間後、両後肢を採取し、脛骨大腿関節および膝蓋大腿関節における関節軟骨、滑膜、膝蓋下脂肪体の組織学的変化を観察した。 その結果、0.2mgおよび1.0mg投与の両群において膝蓋大腿関節の関節軟骨にOAと同様の組織学的変化を認め、その程度は1.0mg投与群にて高度に進行していた。半定量的評価であるOARSI scoreにおいても同様の結果を得た。滑膜では0.2mgおよび1.0mg投与の両群において滑膜炎を認め、その程度は1.0mg投与群において高度であったが、両群とも時間経過によって改善した。膝蓋下脂肪体では0.2mg投与群では軽度の線維化を認めたが、時間経過によって改善した。1.0mg投与群では重度の線維化を認め、時間経過による改善は認めなかった。以上より、MIAの関節内投与によって膝蓋大腿関節、滑膜、脂肪体に組織学的変化を引き起こし、膝蓋大腿関節における変形性膝関節症(Osteoarthritis in the patellofemoral joint;PFOA)モデルとしてみなせる可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画通り、MIAの関節内投与が膝蓋大腿関節における関節構成体に引き起こす組織学的変化の解析が終了した。その途中成果を年度内に国内学会にて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において確立したPFOAモデルラットを用いて、力学的負荷環境がOA進行および滑膜や膝蓋下脂肪体に与える影響に関する研究は、学術的・臨床的に有益な知見が得られる可能性が高い。したがって、当初の研究計画通り、初年度の研究基盤の上に、今年度の研究をさらに推進させる。
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Causes of Carryover |
当初の予定より実験動物および実験に使用する消耗品に対する支出が少なくなったため。余剰金額については来年度の国際学会の発表における参加費や旅費、論文投稿およびオープンアクセス費用などに充てる予定である。
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Research Products
(2 results)