2017 Fiscal Year Research-status Report
オルタナティブ家族で精子提供によって出生した子の情報開示ジレンマに関する研究
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17K18580
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牟田 和恵 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80201804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 里美 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20584098)
岡野 八代 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70319482)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 精子提供 / 同性カップル / 生殖補助技術 / オルタナティブな家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、第三者からの精子提供によって女性カップルのもとに生まれた子について、インタビュー調査の設計を行うとともに、7ケースの事例調査を実施した。またフランスにおいては、関連法についても調査した。事例調査は、3ケースは日本、3ケースはフランス、1ケースはニュージーランド(調査自体はイギリスで実施)のものである。 フランスは2013年に同性婚が法制化され、同性カップルの養子縁組も可能になったが、同性カップルの生殖補助医療の利用は認められておらず、現政権のもとで議論がなされている最中である。ニュージーランドは、調査対象者が子をもうけた時点では同性婚は法制化されていなかったが(2013年に法制化)、生殖補助医療の利用は可能であった。 各国の法制度のあり方と、それと関連はするが相対的に独立した当該家族に対する社会の許容度は、情報開示と子のアイデンティティのあり方に強く影響するが、それだけではなく、子の発達段階、家族の居住形態、精子提供者をどのように得たかなどによってもかなり異なっていることが明らかになった。 同性婚はもとより、同性カップルの生殖補助医療が認められておらず、当該家族に対する社会の許容度もきわめて低い日本では、同性カップルが子をもうけるということ自体が、金銭的にも社会資源の面でも特権的な階層にしか可能ではない。それにもかかわらず子をもうけたカップルが直面した・している困難と、その際に取った戦略、そして同様の問題が他国においてどのように生じているかに関する事例を収集することによって、当該家族のもとで育つ子の法的権利・福祉のあり方を検討していくための基礎的な整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者が在学研究のため海外に滞在していることを生かして、現実的にも法制度の整備の上でも事態が進行しているヨーロッパのケースを予定以上の数、調査することができた。他方、同じ理由によって国内調査は1ケースにとどまったが、海外調査により、日本でフォーカスすべき点がより明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本でのケースを中心に聞き取り調査を続けていく。日本含む、精子バンク等、ドナーの獲得に焦点をあてた調査を追加する。理論的・法的な検討も行う。
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Causes of Carryover |
共同研究者が2名とも在外研究中であったところから、国内調査が予定数より少なかったこと、それに伴いベビーシッター代がかからなかった(海外調査ではベビーシッターの雇用は必要が無かった)ため。同じ理由で、大学備品とする書籍購入を若干控えたため。 2018年度においてこれをは実行し、予算使用していく。
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Research Products
(3 results)