2008 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性保全と自然再生の理念に関する環境倫理学的研究
Project/Area Number |
18310027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鬼頭 秀一 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40169892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 康司 東京大学, 教養学部, 准教授 (20316334)
佐藤 哲 長野大学環境, ツーリズム学部, 教授 (10422560)
井上 有一 京都精華大学, 人文学部, 教授 (50203261)
池田 啓 兵庫県立大学, 自然環境学研究所, 教授 (60322369)
桑子 敏雄 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (30134422)
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Keywords | 生物多様性保全 / 自然再生 / 保全の理念 / 環境倫理 / 理論と実践 / 脱炭素化社会 |
Research Abstract |
今までの研究成果のまとめとなる『環境倫理学』(東京大学出版会)の内容を充実すべく、現砲での調査研究、東京での研究会、研究代表者とメンバーの個別の調整を行った。本研究プロジェクトの理論的成果として次の相互に密接に関係する3点にまとめた。1.人間と自然を歴史的に相互に関係を持ちつつ共進化したものとして捉え、その入れ子状態にある関係性全体に対する倫理として環境倫理を再構成すること、2.環境倫理を人間と自然との直接的な関係性だけでなく、自然を前にしたさまざまな人間相互の関係性の倫理として捉え直し、社会的公正や合意形成にかかわる倫理も含めた公共哲学的なものとして再構成すること、3.災害や野生生物のリスクなど、人間にとって禍やリスクとして捉えられるような自然の側面と、生態系サービスなど,恵やベネフィットとして捉えられ、それゆえ、まもるべきものとして構成される自然の側面を、包括的、全体的なものとして捉えることにより、二項対立図式を超える環境倫理を構築すること。このような新しい理論的枠組みの環境倫理に関して、各研究メンバーが、国際会議などの場で国際的な自然再生、生物多様性保全,応用倫理学,哲学などの議論の場で、発信、交流を行った。さらに、温暖化対策、脱炭素化社会の構築など、喫緊の環境的課題に、われわれの環境倫理学の研究成果が十分に寄与できることを示すため、地域でエネルギー自給を可能にし,脱炭素化をも射程に入れ、生物多様性保全もトータルに捉えられるような新たな自然再生の枠組みを提示する「EIMYと環境倫理」というワークショップを、実際に実践の中心的な場である福島県天栄村で行った。そのことにより、喫緊の環境的問題にも十分に対応可能な環境倫理の枠組みを提示でき、この成果も含めて成果報告書となる『環境倫理学』を充実させることにしたい。
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Research Products
(53 results)