2008 Fiscal Year Annual Research Report
通電処理による牛乳アレルゲン活性低減化に関連する蛋白高次構造の研究
Project/Area Number |
18604008
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松本 知明 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (30128318)
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Keywords | 牛乳アレルギー / βラクトグロブリン / 牛乳アレルゲン / 球状蛋白 / 電気分解 / 低アレルゲンミルク |
Research Abstract |
β-ラクトグロブリンを電気分解すると、その陰極側で著しいアレルゲン性減弱化がみられる。2次元電気泳動でこの蛋白の変化を調べたところ、通電前と陽極側では単量体と2量体がみられ、陰極側では、さらに4量体と思われるバンドがみられた。各々のスポットを切り取り、トリプシン処理した後、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析法を用いて、ペプチド解析を行った。その結果、通電前と陽極側から得られた、各々2量体と思われる部分の質量分析パターンが完全に一致した。また各々の単量体と思われる部分と、陰極側の2量体、4量体と思われる部分の質量分析パターンが一致した。すなわち、陰極側でβ-ラクトグロブリン蛋白は、単量体としての構造を保ったまま2量体、4量体になっていることが分かった。この結果から、天然のβ-ラクトグロブリンは2量体の形で牛乳中に存在し、アレルゲン性を発揮していると思われる。陰極側で得られた2量体、4量体は単量体の構造を保ったままであるため、アレルゲン性が発揮されないと推論した。 通電前と陽極側に特徴的にみられた2種類のペプチド断片指紋は検索エンジンの結果から^<41>Va1-^<60>Lysと^<149>Leu-^<162>Ile残基であった。この部分は蛋白立体構造の上では2量体形成に関連しており、過去の研究からIgE抗体と結合する部位であることも分かった。通電処理により、陰極側ではこの部分がトリプシン耐性領域に移行したことになる。これらの構造変化によって低アレルゲン化がもたらされると推測した。
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Research Products
(1 results)