2022 Fiscal Year Annual Research Report
Existential Aspects of Magical Practices and Witchcraft in Urban Nigeria
Project/Area Number |
18H00788
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
近藤 英俊 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (40351556)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 妖術 / 家族 / 偶然性 / 冒険性 / 都市生活 / 比較研究 / 希望 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である今年度も、コロナ禍とそれに伴う治安の悪化のせいで現地調査を断念し、すでに実施している現地調査の結果と文献研究をもとに研究を進めることになった。 この過程で二つの課題の重要性があらためて浮き彫りになった。一つはナイジェリアにおける妖術と家族の関係である。アフリカの妖術研究において、家族の一員がしばしば妖術使いに見られがちであることはつとに知られている。この最愛の人が最恐のウィッチでもありうる謎は未だ解明されておらず、この問題に取り組まずして本研究は終われないと判断した。重点をおいたのは、このテーマの主導的研究者ゲシーレの研究と、理論上よく引き合いに出されるフロイトのエッセイ「不気味なもの」を、現地調査の結果と照らし再吟味することである。結論として、両者の見解はこの問題の根本に到達していない。カギを握るのは、家族ならではの不条理が妖術を想起させやすい点であり、そしてこの不条理は「誕生」と「出会い」という家族成立の偶然的な契機に多くを負っていると議論した。この論考は近く出版する予定である。 二つ目は、ナイジェリア都市部の妖術問題を理解する上で欠かせない都市生活者の特性、彼らの「冒険性」に関し、アフリカの他の地域並びに都市以外の生活形態との多角的な比較研究を実施することである。このため15人の気鋭のアフリカ研究者を招き、二日間にわたって関西外国語大学にてシンポジウム「アフリカの冒険的現代:偶然化に託す希望のチカラ」を開催した。このなかで、冒険性が他のアフリカ地域にも広く見られるだけでなく、一見都市生活とは対極的な狩猟採集民の生活にも顕著であることが明らかになるとともに、冒険的実践に伴う希望が、不確実性の縮小ではなく、むしろ不確実性のなかに見出しうることが指摘された。希望については今後重要な研究テーマとなりうるという感触を得た。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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