2022 Fiscal Year Annual Research Report
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18H00793
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
楜澤 能生 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (40139499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 由美子 福島大学, 行政政策学類, 教授 (80302313)
高村 学人 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80302785)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 物質代謝 / 個体的社会的所有 / 農林地の集団的自主管理 / シェアディール規制 / 農地政策 / 農地請負経営権 / 農業の工業化 / 農地取引規制のルネッサンス |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能な農地利用を実現するうえで必要な二つの条件がある。第一は、農地に対する個体的所有の確立である。個体的所有とは、①経営と、②労働と、③農地に対する権利が分離せず、三位一体として構成される所有の在り方である。 この基準に即して各国の農地所有権を分析すると、まずドイツでは、農地所有権は、個体的所有権として構成されているが、私的所有権である会社持分権により、個体的所有権が空洞化され始めている、という問題が発生している。 日本でも農地所有権は、個体的所有権として構成されてきたが、新自由主義的農地政策により、攻撃の対象となっており、賃貸借の自由化を通じて崩されつつある。他方中国では、両権分離までは、構成員農家の請負経営権が個体的所有権として構成されていたが、三権分置により、経営権が分離され、三位一体が崩れる可能性が生じている。 持続可能な農地利用を実現する第二の条件は、市場による農地分配に代わる、地域における農地の集団的自主管理システムの確立である。ドイツにおいては、国家による農地市場規制があるだけで、このようなシステムは存在していない。日本では、法制度は存在する(農用地利用改善事業とその担い手としての利用改善団体)がうまく活用されてこなかった。「人農地プラン」の法制化を通じて、「地域計画」制度が導入されたが、これが実質的に農地管理の仕組みとして定着するか否か、このご注視していく必要がある。中国においては、農地所有の主体である集団による農地管理が機能不全に陥っている。そうした中で経営権が流動化されると、持続可能ではない土壌収奪的農地利用が一般化される恐れがある。 経営と労働を一体として引き受ける者が農地の権利主体であるような所有関係と、これを前提とする、農地の集団的自主管理法制を、今後どのように確立していくかが重要な課題となる。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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