2018 Fiscal Year Annual Research Report
Compalative Analysis of International Economic Dispute Settlement Procedures
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18H00799
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
阿部 克則 学習院大学, 法学部, 教授 (20312928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平見 健太 東京大学, 社会科学研究所, 研究員 (10812711)
岩本 禎之 (李禎之) 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20405567)
関根 豪政 名古屋商科大学, 経済学部, 教授 (60736510)
猪瀬 貴道 北里大学, 一般教育部, 准教授 (70552545)
佐瀬 裕史 学習院大学, 法学部, 教授 (80376392)
小寺 智史 西南学院大学, 法学部, 教授 (80581743)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | WTO / 投資仲裁 / ICJ / ICSID / FTA / ITLOS |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、WTO紛争処理手続や投資仲裁等の国際経済紛争処理手続は急速な発展を遂げてきたが、他方でWTO上級委員会が強い批判を受けているように、手続的・制度的な正統性/正当性を向上することが求められている。そこで本研究は、国際経済紛争処理手続を、ICJ等の他の国際法上の紛争処理手続や国内裁判手続との比較を通じて分析するものであり、具体的には、①国際経済法内部での比較、②国際法平面での比較、③国内訴訟法との比較、④手続の実態調査、という4つの柱で研究を行っている。2018年度においては、研究代表者・分担者それぞれが各自の担当分野において研究を実施し、2019年3月3日に全体会合を開催して各自の研究の進捗状況を下記のように報告した。 ①国際経済法内部での比較に関しては、阿部がWTO上級委員会の危機的状況について過度な司法化が進んだのではないかとの観点から分析を行い、関根がWTO紛争解決手続が危機に陥った状況におけるFTAの紛争解決手続の意義を検討し、猪瀬が投資仲裁における承認・執行や上訴制度・常設裁判所の議論を分析した。 ②国際法平面での比較に関しては、小寺が国際経済紛争処理と他の国際法上の紛争処理における正統性・履行/遵守・キャパシティービルディング等の観点から分析を行い、阿部と李がICJとWTOにおける先決的抗弁の観点から検討を行った。 ③国内訴訟法との比較に関しては、阿部と佐瀬が法律問題と事実問題の区別の観点から分析を行った。 ④手続の実態調査に関しては、阿部と平見がICSID事務局におけるインタビューの結果を仲裁プロセスにおける事務局の役割と事務局の機構的側面からまとめて報告した。なお全体会合後の3月11日には、阿部・瀬田・平見がITLOS事務局への訪問インタビューも実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①国際経済法内部での分析については、WTO紛争解決手続をめぐる状況が急速に変化したものの、それをフォローしつつ現出した諸問題を分析することができており、その成果は2019年度中に公表予定である。 ②国際法平面での分析については、当初の目標通り研究メンバーの間における問題意識の共有と基礎的な分析が進んでおり、2019年度にはそれらを踏まえた研究成果を出すことができる見込みである。 ③国内訴訟法との比較についても、当初の目標通り研究メンバー間における問題意識の共有と内在的な基礎研究が進んでおり、2019年度には国際経済紛争処理手続と国内訴訟法との比較分析を行うことができる段階にある。 ④手続の実態調査に関しては、ICSIDとITLOSへの訪問インタビューを実施することができたので、国際裁判所・紛争解決機関の事務局の役割に関する比較分析を行うための基礎的情報収集が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
①国際経済法内部での比較については、阿部・猪瀬・関根・平見が担当し、具体的には、阿部は、研究の統括及びWTOとFTAの紛争処理手続における先決的抗弁を比較分析する。猪瀬は、引き続き投資協定上の国家間仲裁について実際の紛争事例を踏まえて検討し貿易(通商)紛争との異同を整理する。関根は、FTAにおける紛争解決手続の変容を踏まえて、WTOと対比した研究が進みつつあるので、その成果を公表することを目指す。平見は、投資仲裁およびWTO紛争処理における審査基準の問題を分析する。 ②国際法平面での比較については、阿部・小寺・瀬田・平見・李が担当し、国際経済紛争処理手続(WTO、FTA、投資仲裁)と他の国際紛争処理手続(ICJ、ITLOS、PCA仲裁)を比較分析する。具体的には、阿部は、研究の統括及び先決的抗弁に関するICJと投資仲裁との比較分析を行う。李は、当事者意思の観点からICJとWTOの抗弁事由の比較分析を行う。瀬田は、UNCLOS紛争解決手続上のITLOSと他の裁判所における先例の位 置づけについて比較分析を行う。小寺は、国際紛争処理手続の比較検討のための視座として、国際法平面における正統性(legitimacy)概念の分析を行う。平見は、他の国際紛争処理手続における審査基準の議論を整理し、それぞれの異同を分析する。 ③国内訴訟法との比較については、阿部・佐瀬・平見・李が担当し、阿部は、研究の統括を行う。また、阿部・佐瀬・平見は、上級審の権限 及び法律問題と事実問題の区別に関し、WTOと国内訴訟法を比較分析する。李は、昨年度に積み残したICJにおける証拠法理の論点整理を行う。 ④手続の実態調査については、阿部・瀬田・平見が担当し、ハーグにおいて、ICJ・PCA・ICCにおけるインタビューを行い、それぞれの裁判所事務局の体制・裁判所事務局と裁判官との関係等を調査する。
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Research Products
(1 results)