2018 Fiscal Year Annual Research Report
「先住民族の権利に関する国連宣言」の実効性-先住民族・国家・国際機関への影響
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18H00810
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
松本 裕子 (小坂田裕子) 中京大学, 法学部, 教授 (90550731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 淳子 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (00444472)
守谷 賢輔 福岡大学, 法学部, 准教授 (40509650)
深山 直子 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (90588451)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 先住民族 / 国連宣言 / マオリ / サン / カナダ |
Outline of Annual Research Achievements |
第1回研究会(2018年6月9日、津田塾大学)では各自のこれまでの研究の紹介を行った。第2回研究会(2018年12月14日、スカイプ)では、小坂田がアラスカ・バンクーバーでの調査報告を行った。第3回研究会(2019年2月27日、首都大学東京)では、石垣直氏(沖縄国際大学教授)と上村英明氏(恵泉女学園大学教授)をゲスト報告者として招いて、台湾原住民及びアイヌと法との関係について知識提供を得た。 小坂田は、2018年8月にアラスカ及びバンクーバー島の先住民族に国連宣言の利用に関する聞き取り調査を行った。その結果、国連等に行ける能力及び資金のある層は国連宣言をよく理解し、活動に利用しているが、そうでない者は、利用したくても利用の仕方が分からない状態にあることが分かった。 守谷は、国連宣言の影響を受けたと一般に評価されているカナダの国内判決やそれに関する論文などを収集した。これらの読み込みについては、次年時以降に行う予定である。 深山は、オセアニア及び沖縄の島嶼社会で環境問題が喫緊の課題になっていることを鑑みて、現地の社会構造や生活実践におけるレジリエンスについて、文献研究とフィールドワークから分析を進めた。加えて、研究手法としての参与観察の有効性について、学部生への実践的な教授を通じて再検討した。 丸山は、本課題と関係の深い『先住民からみる現代世界』の出版記念ワークショップを開催し、これまでの到達点と、今後追求すべき課題について、公開で議論を行うことができた。また、ボツワナの先住民運動をめぐっては、土地権を争った裁判の前後の経過を追う資料を整理し、論点を明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者の一人が産休及び育休をとり、もう一人が病気療養のため、当初の研究計画を見直す必要が生じた。主には、初年次に予定していた海外での調査は、次年次以降におこなわざるをえなくなっている。子どもの成長の具合や本人の体調を見ながらなので、具体的にいつ実施するかは未定である。その代わり、研究会に各国の先住民族の専門家をゲストスピーカーとして招き、専門知識の提供を受けることで、「先住民族の権利に関する国連宣言」の各国の先住民族への影響を調査した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者の産休及び育休、またもう一人の分担者の病気療養のため、2018年度は当初の計画の見直し、遅れが生じている。前者については、2019年4月より職場復帰したが、まだ小さい子供をおいて海外に調査に行くことは難しい。また、後者についても体調は万全ではない。そのため、今年度も当初の研究計画を見直し、北海道のアイヌ等、日本国内への調査や各国の先住民族調査の専門家を研究会に招き、専門的知識の提供を受けることで、「先住民族の権利に関する国連宣言」の日本及び各国の先住民族への影響の調査をおこなう。
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