2018 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト成長期における先進産業地域の持続可能性とまちづくり
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18H00925
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹辺 宣彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90212125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 麻理 名古屋文理大学, 健康生活学部, 教授 (60434635)
山口 博史 都留文科大学, COC推進機構, 准教授 (70572270)
中根 多惠 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (10774515)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 産業都市 / まちづくり / 市民活動 / 環境 / 多文化共生 / 高齢化 / 定住 / 集合行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度研究実績は以下の通りである。調査面では、2019年度に四日市市で実施する予定の質問紙調査に向け、四日市市役所各課と、公害被害地域である塩浜地区で自治会・企業の取組みを中心にeインタビュー調査をおこない質問紙調査実施への道筋をつけた。年度後半には質問紙調査の設計に着手した。豊田市については従前からおこなっている東山地区・保見地区での調査を引き続きおこなった。 研究成果の公開については、研究期間を延長した前科研プロジェクトと平行して、豊田調査を総括する成果報告書『変貌する豊田の地域社会』を刊行した(執筆者は研究分担者を中心とした6名)。全体として、グローバルな経済競争の圧力と、少子化・未婚化といった社会学的要因により、豊田市の地域秩序が階層的に閉鎖化しつつ動揺し始めていることが示された。この報告書をベースに、2019年度中には学術書を刊行する予定である。この他、豊田市保見地区の多文化共生に関する学術論文を1篇刊行し、他の1篇は学会誌への掲載が決定している。この他、学会報告を2回実施している。研究分担者の中村も、食・農関連の活動について著書論文1編、研究動向論文1篇を発表している。 国際的学術交流については南京大学副学長のゾウ教授、朱副教授が豊田調査に関連して名古屋大学を訪問し研究交流をおこなった他、東南大学の高講師、吉林大学李副教授をそれぞれ招聘し、四日市での予備調査と質問紙作成に向けた意見交換をおこなった。また1019年6月にソウル大学で実施される産業都市研究の国際会合(ワークショップ)に招聘された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会学の調査研究では調査の相手方と信頼関係を構築することが調査の前提となるが、この前提を整えるのに多くの努力を要する。本プロジェクトでは四日市市で環境まちづくりをテーマに質問紙調査を実施するが、市役所、自治会とヒアリングを幾度もおこなうことができ、しだいに信頼関係ができつつある。豊田市の調査研究については学術書刊行の基となる報告書を刊行することができ、合評会ではコメンテーターから高い評価を得ることができた。豊田研究については学術論文2編(さらに1編が学会誌に掲載予定)、学会報告も2件発表することができた。 国際的には、産業都市を国内に多く産業都市を抱え環境問題に直面している中国の研究者から注目され、研究交流を深めることができた。産業都市を研究する他分野(地理学・都市計画論)の研究者からも注目され、韓国ソウルで開催される国際会合へ招聘を受けた。 以上から、全体としては、順調に研究課題が進捗していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度については、8月初旬に四日市市で2000-3000票規模の質問紙調査をおこなう予定で、研究分担者と調整しながら質問紙案を作成しているところである。実施に向けて、サンプリングや住民台帳閲覧の手続きを着実に進めていく。調査実施後は、コーディング、データ・クリーニング作業をおこない、データ入力は信頼できる業者に外注する。年度後半は、年度内の調査報告書作成に向け鋭意集計と分析を進めていく予定である。2020年度にはこれを基に学会報告と学術論文の執筆・投稿をおこなっていく。 豊田研究については、報告書合評会で受けたコメントに対応するかたちで原稿を作成し、学術書刊行に向けた作業を進めていく。すでに出版社からは内諾を得ている他、出版助成(研究成果公開促進費)も得ているので、こちらについても年度内刊行を目指して着実に進めていく。質問紙調査実施と学術書刊行を両立することは難しいので、スケジュール管理に留意したい。 国際的な学術交流については、四日市質問紙調査データの分析をおこなう過程で東南大学の高講師を再度招聘する他、ソウル大学での研究報告、南京大学での招待講演をおこなう予定である。
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Research Products
(8 results)