2020 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト成長期における先進産業地域の持続可能性とまちづくり
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18H00925
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹辺 宣彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90212125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 麻理 名古屋文理大学, 健康生活学部, 教授 (60434635)
山口 博史 都留文科大学, その他部局等, 准教授 (70572270)
三田 泰雅 四日市大学, 総合政策学部, 教授 (30582431)
中根 多惠 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (10774515)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 産業都市 / 集合行為 / 社会的ネットワーク / グローバル化 / トヨタ自動車 / まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に予定していた豊田市での第三次質問紙調査(「豊田市のまちづくりと市民活動に関する調査Ⅲ」)は、コロナ感染の広がりにより市役所でのサンプリングと発送作業が困難になったため、2021年度に実施を延期せざるをえなくなり繰越を申請し認められた。質問紙調査とともに対面接触が制約されヒアリング調査も実施困難になったことから、過年度に得た四日市市データの分析と報告に注力した。この方針の下で、四日市市の地域構造・社会移動に関する論文1篇を執筆し、全体として定住性と地縁性が高いなかで、臨海部では若いファミリー層の転出が多くなっていることの影響を明らかにした。さらに、生活環境の知覚が都市イメージと地区からの移動に与える影響について分析した論文が学会誌に掲載された。学会報告についても四日市市の環境意識・地域イメージの特質についてオンライン参加で1件報告を実施した。同市については開発期前後までの研究は多かったが、一般市民を対象とした量的調査データに基づいて地域コミュニティと生活環境を研究した例が殆どなかったため、稀少な価値をもつ成果を上げたと言えよう。 繰越が認められた2021年度についても第五波、第六波の感染により豊田質問紙調査の実施が再び困難になり、2022年夏の実施を期して再繰越を申請し認められた。2022年については、第七波感染拡大前にサンプリング作業を済ませることができ、発送を業者に委託することで無事実施することができた。無作為抽出した3000人の対象者に8月初めに郵送し、不達票を除く有効票の回収率は40.4%と良好な結果を得ることができた。10月までに入力とクリーニングを終えたデータをもとに、分担者と精力的に集計と分析に取り組み、分担執筆により、計6章からなる研究成果報告書『「豊田市のまちづくりと市民活動に関する調査Ⅲ」報告書』を課題最終年度内に刊行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題はコロナ禍の発生により、2020年度以降の予定を大きく変更することを余儀なくされた。対面接触が制約されたため。質問紙調査にともなう作業とヒアリング調査の実施が困難になり、二回に及ぶ延期に伴い繰越申請・再繰越申請をおこなった。ようやく最終年度に当初から予定していた豊田市での第三次質問紙調査と四日市市での団体ヒアリング調査を実施することができ、世界的にもユニークな先進産業都市に関して地域調査データを蓄積することができた。コロナ禍が拡大した当該年度については予定通り進まなかったが、課題に関連した編著書を刊行できたこと、期間内に延期された質問紙調査を実施し成果報告書と学術論文を刊行できたこと、さらに今後の研究を展開する見通しが立ったことから、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については、2020年度以降、コロナ禍で対面接触が制約されたことから大きな影響を受けた。しかし期間全体を通じて、四日市市については質問調査データとヒアリング調査データを構築し、環境問題を引き起こした都市の生活環境と持続可能性について研究する基盤を整えた。豊田市については、2009年、2015年に続き、住民の社会活動に関する量的データを整備することができた。理論的には、雇用の安定性がもたらす地縁性の高さと階層構造・性別役割分業、「規則的/規制された動的密度」を統合するかたちで、持続可能な産業都市の地域構造・住民意識・公共空間をとらえる枠組を示すことができた。今後はこれらの成果を基に、中部圏の都市研究を続けるとともに、先進国に残る産業集積地域と、とくに製造業の盛んなアジア地域の諸都市を視野に入れて都市の持続的発展の可能性を比較研究するためのフレームを追究していきたい。日本社会の持続可能性を研究しようとし、本研究課題にも興味を示している中国・南京大学とは今後も協力関係を継続していきたい。
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Remarks |
(1)のウェブページは所属講座の教員紹介ページにリンクしている。
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Research Products
(5 results)