2019 Fiscal Year Annual Research Report
Reconceptualizing "Positionality" in Empirical Studies in Japan: A Critical Analysis of Power, Interactions, and Mutual Intelligibility
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18H00930
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
池田 緑 大妻女子大学, 社会情報学部, 准教授 (40337887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江原 由美子 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (20128565) [Withdrawn]
小川 真理子 東北大学, 男女共同参画推進センター, 准教授 (50724746)
定松 文 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 教授 (40282892)
高野 麻子 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (90758434) [Withdrawn]
高橋 哲哉 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (60171500) [Withdrawn]
曹 慶鎬 立教大学, 社会学部, 助教 (20762892)
桃原 一彦 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (40369202)
玉城 福子 沖縄国際大学, 地域文化研究科, 研究員 (20843246)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポジショナリティ / 経験的概念 / 社会的係争 / 被投的関係 / 社会的共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となる本年は、理論分析と事例分析、定量的調査の実施を主に行った。 理論分析と事例分析においては、①権力作用、②被投的関係を中心に検討を行った。ポジショナリティが権力関係の発現過程で重要であること、特にポジショナリティの黙殺(抑圧側)とその黙認(被抑圧側)は、新たな権力作用を惹起することを日本と沖縄の関係を中心に検討した。またそのような(奇妙な)行為の一致の背景には、ポジショナリティをめぐる被投性が存在し、被投性への拒否感がポジショナリティの相違を超えて「拒否感の共有」をもたらしうることを、理論的系譜の確認と研究メンバーの各研究領域の事例を持ち寄り検討した。それらの検討の結果、被投性に対する拒否感についてより詳細な分析と、拒否感を回避する共通了解性の分析が次なる課題として確定した(この認識に基づき、2020年度には研究組織を拡大し2021年度からの後継的科研を申請し、21H00774として採択された)。 予定より3ヶ月程度遅れたものの、日本国内でのポジショナリティについての定量的調査を2019年12月に実施した。ネットでの調査(調査会社を利用)であり、関東、関西、沖縄、で合計1000部の回答を得た。内訳は関東350、関西350、沖縄300、である。日本と沖縄の関係についての意識、性差やジェンダーに関する意識、多文化状況に関する意識を中心に調査を実施した。居住地(特に沖縄とそれ以外)、性別、コーホートなど、ポジショナリティと関わる属性において、社会事象への意識に対して多様な差異が確認された。 これらの研究活動を、平均して2ヶ月に1回の割合で大妻女子大学に集まり実施した。なお、研究会のMLを活用して補足的な議論も随時行なった。なお最後の数ヶ月は新型コロナウィルスの影響により、いくつかの予定が実施困難となった。研究会自体はオンラインで継続的に開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来2019年9月に定量的調査を行い、その集計・分析作業を2020年1月までに行う予定であったが、調査票設計の過程で多文化状況についてより詳細な事前検討が必要となった。そのため、多文化状況の諸論点の洗い出し作業のやり直しと、研究協力者として山根俊彦氏に参加してもらい、論点の整理を行なった。その結果、調査票の完成が10月となり、予定が遅れることとなった。 また定量的調査の分析結果を2020年3月に開催される国際学会AAS(Association for Asian Studies)の年次大会において報告する予定であったが、上記の研究の遅れにより困難となった。AASの年次大会自体も新型コロナウィルスの影響により中止となったため、次年度に持ち越さざるを得なくなった。また2020年3月に、沖縄においてどのような齟齬が沖縄人と日本人の間に生じているのか、そこにポジショナリティがどの程度影響しているのかについて調査を行う予定であった。基地反対運動、県外移設運動、平和運動など運動関係者や、行政やメディア関係者などに聞き取りを行い、沖縄の人々も交えた研究会を行うべく準備していたが、新型コロナの影響で沖縄への移動が困難になり、さらに調査・活動の拠点に予定していた沖縄国際大学の施設使用も不可となり、延期せざるを得なかった。さらに研究協力者(知念ウシ氏)に、沖縄の社会状況を東アジアの枠組みで捉え直すことにより、グローバルな文脈でのポジショナリティの再検討の可能性を探索するよう依頼しており、その一環として台湾での調査を2020年3月に予定していたが、新型コロナの影響で国際間移動が困難となり、これも次年度へ持ち越さざるを得なかった。 これらの事情のため、次年度への繰越および次年度使用を行い、定量的調査の分析作業と、それを踏まえた国際学会での報告、沖縄での調査研究会などを延期せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目となる次年度は、2年目に延期となった定量的調査の分析、及びその結果の国際学会での報告、沖縄での調査研究会の実施等を新型コロナの状況を見ながら可能な限り速やかに実施したい。 それに加えて、本来の計画である共通了解性について検討を行い、3年間の研究成果をシンポジウムとして発表し、また3年間の報告書を作成する予定である。
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Research Products
(22 results)