2019 Fiscal Year Annual Research Report
コ・リノベーションの展開を空き家対策に適用させるコミュニティ基盤型計画技術の開発
Project/Area Number |
18H01608
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
徳尾野 徹 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80237065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 俊祐 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (50182712)
西野 雄一郎 福岡大学, 工学部, 助教 (30783708)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コ・リノベーション / 空き家 / 住宅ストック / コミュニティ / 連鎖 / 中間組織 / 計画技術 / 地方自治体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで実態把握してきたコ・リノベーション(コ・リノベ)における改修後の使い方は、物販店舗・飲食店あるいは併用住宅が主であった。そこで、専用住宅再生によるコ・リノが進む神戸市塩屋地区を新たな調査対象地としてその実態把握を行った。2007年から始まる洋館(明治42年)の再生・活用・保全活動をきっかけに訪問者が増え、彼らが住環境としての地区の魅力に気づき、自然発生的なリノベによる専用住宅再生の連鎖(42件)が起こった。このような移住者が中心となったまちづくり活動が地域の賦活に繋がっており、専用住宅のコ・リノベの可能性を示した。 空き家問題に対して新たな取り組みを行う地方自治体+中間組織の可能性を探るために、2自治体+1NPOを対象に聞き取りを行った。宇都宮空き家会議は官民学連携組織であり、不動産・金融・建設・造園・法曹・大学・NPO・行政などの関係団体が連携を図り、所有者や相続人、地域が抱える複雑化する問題の解決を支援し、空き家を活用した地域活動拠点づくり等を行っている。長崎市の斜面地密集市街地における老朽危険空き家の寄付受け制度では、整備されたコミュニティ広場を自治会が中心に維持管理・活用を行っており、地域課題解決とコミュニティの活性化に繋がるなど空き家の公費解体の可能性を示した。鳥取市のNPOいんしゅう鹿野まちづくり協議会においては、空き家を地域資源として捉えて、地域主導の空き家を活用したまちづくり活動を展開している。多様な中間組織、行政との多彩な協働があり、空き家対策がコ・リノベへと繋がる可能性を示した。 住み手・使い手、地域、地元事業者および行政が、空き家を外部不経済から活用資源へ、個人資産から社会材へと捉えなおすことがコ・リノベを展開させる端緒となる。そのためには、地域課題や地域が有する可能性を明確にするあるいはそれらを発見する機会をつくることが計画技術のコアとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目のコ・リノベーションに関する調査研究は、これまでの住宅ストック活用研究および一年目の現地調査研究の蓄積とネットワークがあるため、調査対象地の抽出から聞き取り調査の実施まで概ね順調に進んだ。現在、査読付き論文作成の準備中である。また、地方自治体+中間組織を対象とする空き家問題対策に関する自治体調査研究は、東大阪市役所の空き家担当部署と協働で進めたため、各自治体の調査協力が得やすく、全体として非常に順調に進展した。査読付き論文を発表することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染防止の観点から研究活動が制限されており、今年度の研究推進に関しては不透明なところがある。制限されている期間は、実践的研究の対象地・対象建築ストックの選出と現地(大阪市住吉区・和歌山県田辺市など)との調整等を行う。新型コロナウイルスに関する問題が収束し、研究活動の制限が取り除かれ次第、研究計画を進める。
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