2020 Fiscal Year Annual Research Report
好中球の生体防御機構から学ぶ:ナノ免疫デバイスの創製と新規がん治療戦略
Project/Area Number |
18H01845
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西村 智貴 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (60648070)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子ベシクル / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の薬物輸送システム(DDS)は、「薬」を運搬体に内包させ、がんなどの疾患部位へと送達する。しかし、運搬体からの薬の漏出に伴う副作用と薬効低下が問題となっており、安全かつ治療効果の高い、新しい医療戦略が求められている。 このような背景のもと、本研究では、抗がん剤などの薬を必要とせず、がん局所で薬を合成する好中球類似のナノデバイスを創製し、従来型のDDSの課題を克服した治療システムの構築を目的とした。 本年度は、腫瘍周囲へのターゲッティング能を付与するため、Eセレクチンの糖鎖リガンドであるsialyl lewis X糖鎖を有する両親媒性ポリマーの合成を行った。また、得られた糖鎖ポリマーと前年度開発したポリマー群との複合化を行った。さらに、これらポリマー複合体の詳細な構造を明らかにするために、電子顕微鏡観察、動的光散乱・光散乱法、X線小角散乱法を用いて精密な構造解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、2020年度に腫瘍周囲へのターゲッティング能を有する両親媒性高分子を合成し、前年度に開発したポリマー群との複合化とその精密構造解析を行った上で、セレクチンを発現した細胞系で、細胞取り込み能や選択的な取り込みを評価する予定であった。しかし、コロナ禍の影響ならびに、研究代表者が所属研究機関を移動したために、研究の遂行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度までに、腫瘍へのターゲッティング能を有する高分子集合体の作製を終えている。そこで、2021年度は、速やかに細胞培養用の設備を整えることで、細胞系での選択的取り込み能の評価さらに、細胞内での薬剤変換システムの有用性の評価を行う。
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