2021 Fiscal Year Annual Research Report
励起ガス相/水相の相界面反応場を形成する励起ガス成分組成と反応速度の解明
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18H02015
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
春山 哲也 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (30251656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 直也 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (10452822)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 相界面反応 / 気液界面 / 放電 / アンモニア / 無触媒 / グリーンアンモニア |
Outline of Annual Research Achievements |
100余年にわたって工業的なアンモニア合成を担ってきたHaber Bosch processであるが、近年の地球温暖化の進行や、潜在的エネルギー危機などの社会課題が顕在化する中で、その時代の要請に適合するために変革が求められる課題が浮かび上がってきている。それは、1.小規模化・軽便化、2.再生可能原料および再生可能エネルギーでの生産化、3.発停自在なオンディマンド生産適合化、この3課題である。以上の課題を解決すべく、Green Ammonia challenge研究という分野が出来、世界の研究者が鎬を削っている。低エネルギーかつ小中規模で発停容易のアンモニア製造技術の確立は、需要地生産可能な中小規模でのアンモニア生産を可能にする。その実現は、低製造エネルギー消費・低二酸化炭素排出に繋がり、また需要地生産は、ノンロジテックによる無運搬エネルギー消費・無運搬二酸化炭素排出をも実現し得る。しかし、それが実現されるためには、製造原料から異なる大きなゲームチェンジが必要である。 我々は、水素ガスを必要とせず、空気と水だけを直接原料とし、窒素と水から成る異相界面を反応場として、常温・常圧の一段階反応で窒素固定を行う「相界面反応」を独自に見出した。相界面反応は、水による気体の無触媒還元反応であるということができる。これは、水相表面に存在する特異な水分子の状態に着目したことによって想を得た反応である。水相表面には、水素結合を形成していない水分子が存在する。 この水相最表面の水分子の水素原子を、放電により活性化(励起と解離がある)された活性化窒素が引き抜き還元され、アンモニアが生成され水中に溶存する。前年度までに、我々が新たに構築した窒素プラズマを誘電体バリア放電が、効率よく窒素を活性化できていることを実証することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初目標では、相界面反応の機構解明を主たる目的としていた。その機構解明が進捗し、3つの活性化(解離・励起)状態のそれぞれの反応機構を検証し、うち1状態がアンモニア合成選択性を100%に高めることを見出した。そこまでは当初目標の範囲内かもしれないが、3年度においては、「誘電体粒子充填バリア放電」により特定の活性化状態の窒素を高効率で生成し、反応全体のエネルギー収率を大きく向上でき得る方法論を見出すに至った。これは当初目的を超えた成果であり、また今後、相界面反応が、化学反応の一分野となる可能性を示すとともに、反応プロセスとして実用化する路を拓く成果でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるので、3年度の成果である「アンモニア合成選択性を100%に高める反応機構(反応条件)」と「反応全体のエネルギー収率を大きく向上でき得る放電機構と反応場形成」とを並進展開し、年度後期にはそれを融合した相界面反応器(リアクター)試作とその実証を行う。
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Research Products
(3 results)