2020 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic mechanism of parallel evolution in a shell brooding dwarf cichlid
Project/Area Number |
18H02499
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高橋 鉄美 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70432359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽田 貞滋 京都大学, 理学研究科, 教授 (00192625)
渡邉 正勝 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90323807)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 古代湖 / シクリッド / 平行進化 / 適応放散 / 国際協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンガニイカ湖に固有なシクリッドTelmatochromis temporalisには、岩場に生息して岩の隙間を隠れ場所とする普通型(normal morph)と、シェルベッド(巻貝の空き殻が敷き詰められた底質)に生息して貝殻を隠れ場所とする矮小型(dwarf morph)がある。矮小型は、少なくとも遠く離れた2カ所で、湖沿岸に広く分布する普通型から平行して進化したことが分かっている。本研究は、この矮小型の平行進化の遺伝的機構を明らかにしようとするものである。具体的には、矮小型を発現する対立遺伝子が普通型集団に低頻度で存在し、矮小型に好適な環境(シェルベッド)が出現した際に、自然選択によってその頻度が増加 して矮小型が進化すると考えている。この機構を解明するため、3年目である2020年度は、前年度に作出したF2世代のオ ス100個体とメス108個体からddRADを用いて多くのSNPを検出し、QTL解析を行なった。その結果、少なくとも5つの遺伝子座が体サイズと関係することが示唆された。この内容は、BMC Genomics誌に投稿中である。 また、これまでは普通型と矮小型の2型が知られていたが、初年度には第3の型(仮に痩身型slender morph)を深場から採集した。その後、形態調査や分子実験を行い、側所的に生息する普通型と形態的、遺伝的に異なることを示した。2020年度には、これらのデータを元に、この型を報告する論文をHydrobiologia誌から出版した。このほか、タンガニイカ湖シクリッドに関わる論文を投稿し、受理された。2019年1月に投稿した論文の修正も行って受理されたため、受理された論文は合計2報である。出版は、いずれも2020年度である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大のポイントであるQTL解析が成功したため。本解析はすでに論文として執筆し、投稿中である。しかし、コロナの影響により現地調査ができなかったため、他種の採集ができず、体サイズ進化について深く探ることができなかった。 タンガニイカ湖関係の論文を執筆・投稿し、受理された。2019年1月に投稿した論文とあわせ、出版した論文は3報である。
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Strategy for Future Research Activity |
QTL解析の結果を論文として出版する。コロナ禍が終息して海外調査ができるようになれば、野生個体を採集して更なる候補遺伝子の絞り込みを行う。 本研究は、タンガニイカ湖シクリッドの適応放散機構を解明するという大きな流れの一部である。このため、現地に赴いた際には本研究課題に限らず、他の現象や他の種についても幅広く調べる。
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Research Products
(3 results)