2019 Fiscal Year Annual Research Report
血縁の効果と群形成の効果を完全に分離した上での社会性の進化因の解明
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18H02502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 英祐 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (40301874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和也 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 講師 (00648280)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会性の進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、昨年に引き続き、北大内林地にある営巣集団での巣のマーキングおよびサンプリングを行った。昨年度と同様、5-6月の第1営巣期には、巣の数は50ほどで、1つの巣を除いては全て単独メスしか採捕されなかった。しかし、7-8月の第2営巣沖には巣の数は250以上に増え、そのほとんどが複メス営巣であった。どこかから飛来した可能性もあるが、2年とも同様な観察結果なので、第1営巣期の娘世代の一部が独立して、姉妹同士の共同営巣をしているか、あるいは非血縁社との協同営巣をしている物と思われる。採集できたサンプルに関してはDNA分析用の資料を保存してあるので、今年度以降、マイクロサテライト分析により、巣のメンバーの血縁関係を2年分調べることが出来るだろう。 採集個体には全て個体識別用マークを付けて母巣に戻したが、その後、最初に採集された巣とは異なる巣から採集された個体が複数観察されたため、コハナバチ類で「ドリフター」と呼ばれる、巣間移動は怒っているようであり、これらの個体がそもそもどの巣で産まれた物か、そして、移動先の巣で産卵しているかどうかが焦点になる。第1営巣期の巣からは5匹ほどの娘世代が出現し、複メス化の効果は2メスで十分に高い(Ohkubo et al. 2016)ので、余った娘世代同士が、血縁、非血縁にかかわらず共同している可能性もある。 これらのことは、今後、保存サンプルのDNA分析を行い、個体の遺伝子型を求め、同一の巣内の個体の血縁関係を求めること、そして、採集された第3世代の遺伝子型を決定する事で、拡大に世代の個体の適応度を算出し、比較することで、血縁の効果をコントロールした上での共同営巣の利益を知ることが出来ると考えられる。2020年度以降はそれらのデータを出していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年にわたり、分析に必要なサンプルを確保することができ、興味深い新しい知見もいくつか得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度からは、DNA分析を本格的に進め、同時に、第1世代、第2世代、越冬する第3世代の血縁関係を明らかにしていく。また、第2営巣期に少数存在する単メス巣を特定し、単メス・多メス間の適応度比較、血縁者複メス営巣と非血縁者複メス営巣のメスの適応度を算出し、比較する。
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