2019 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory mechanisms for signals on cell membrane and under microenvironment by complex of glycosphingolipids and membrane molecules
Project/Area Number |
18H02628
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
古川 鋼一 中部大学, 生命健康科学部, 特任教授 (80211530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大海 雄介 中部大学, 生命健康科学部, 助教 (10584758)
古川 圭子 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (50260732)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / 細胞膜 / 微小環境 / 細胞外顆粒 / 脂質ラフト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、スフィンゴ糖脂質糖鎖に固有のミクロドメイン(脂質ラフト)の時空間の動的形成過程と機能を解明し、その会合分子との複合体による膜環境の制御機構の解明を目指している。そのために、脂質ラフトの組成と化学構造を解析し、糖脂質-認識分子複合体形成の動態を検討するとともに、脂質ラフトと細胞外分泌顆粒との物理・化学的性状の比較と機能連関を解明する。さらに、細胞外顆粒の分泌・作用機構の解明と、細胞膜上と分泌顆粒におけるスフィンゴ糖脂質と会合分子の複合体によるシグナルと微小環境の制御機構の解明を目的としている。 そのために、これまで、種々の癌細胞を用いて、主に発現する酸性スフィンゴ糖脂質 (ガングリオシド) を標的とした enzyme-mediated activation of radical sources (EMARS)/mass spectrometry (MS) を行い、主たるガングリオシドに膜上で会合する膜分子の同定を進めてきた。すでに報告している、悪性黒色腫(melanoma)細胞上のガングリオシドGD3会合分子、Neogenin-1 に加えて、ガングリオシドGD2に会合する膜分子として、インテグリンbeta1を同定し、そのメラノーマの悪性形質における役割の解明を進めている。 要点をまとめると、1. GD2とインテグリンが膜上で物理的に会合して複合体を形成する。2. GD2とインテグリンの複合体が、細胞の接着度と浸潤能を著明に増強することを、インテグリンのノックダウン実験や抗GD2抗体の効果により明らかにした。3. GD2発現細胞、非発現細胞からの分泌顆粒の組成と機能を比較検討し、発現細胞の分泌する顆粒がGD2を特異的に発現することを、フローサイトメトリーで確認した。4. GD2陽性メラノーマ細胞では、細胞接着時に著明なタンパク質のチロシンリン酸化増強が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 全体としては、概ね順調に進んでいると考えられる。まず、EMARS/MS による、脂質ラフトにおけるスフィンゴ糖脂質との会合分子の同定作業に関しては、標識条件やMSのサンプリング条件決定にやや手間取ったが、現在、十分に遂行可能なレベルに達して、広範なシステムで展開中である。 2. メラノーマ細胞上のガングリオシドGD2を標的としたEMARS/MSにより、GD2会合分子としてインテグリンが同定され、GD2-インテグリンの複合体の動態と機能解析が大幅に進展した。 3. MSによる脂質ラフトの化学組成解析に関しては、外部との共同研究により、詳細な化学構造の解析が進展し、細胞外分泌顆粒との組成比較において、興味ふかい結果が蓄積されつつある。 4. 細胞膜上の脂質ラフトの形成において、スフィンゴ糖脂質の糖鎖に加えて、脂質部位であるセラミドの化学構造の重要性が、大腸癌細胞株の解析から明らかになってきた。大腸癌細胞にシアル酸認識レクチン:Siglec-7が結合するガングリオシドGD3を発現させた場合、非ラフト領域に局在することが判明し、詳細な解析を試みた。その結果、セラミド部位の修飾によるガングリオシド局在の変化と生物学的活性の調節機構の存在が明らかになってきた。 5. 脂質ラフトの細胞外顆粒の生成・分泌に対する関与の検討として、メラノーマ細胞株を、脂質ラフトを破壊する試薬であるmethyl-beta-cyclodextrin で処理した時の細胞外分泌顆粒の量的変化と含有タンパク質の検討を行った。その結果、分泌量はタンパク質として約半分に低下するとともに、HSG101 やカベオリン1の量が著明に低下する (約10分の1)ことが示され、健常な脂質ラフトの存在が、細胞外顆粒の分泌に必須であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. EMARS/MS による、種々のガングリオシドの会合分子の同定と複合体形成の動態解析。確立した方法に沿って、グリオーマ、正常アストロサイト、大腸癌細胞などを用いて、各々の主たる糖脂質と会合する分子を同定し、それらの複合体形成を、細胞膜、細胞外顆粒上で比較検討する。 2. ガングリオシド糖鎖の異なる細胞株由来の細胞外分泌顆粒の、脂質分子、タンパク質分子などの含有分子のプロテオーム解析を進める。よって、各糖脂質糖鎖の違いによる細胞外分泌顆粒の組成と性状の異同を明らかにする。また、その結果と、細胞自身の脂質ラフトの組成との比較検討を行う。 3. 細胞外顆粒膜上の、スフィンゴ糖脂質と会合膜分子との共局在と相互作用に関して、細胞膜上のそれと比較検討する。そのために、超高解像度のイメージング解析、および共焦点顕微鏡観察による免疫細胞学的解析を行う。また、生化学的に複合体全体の組成や複合体形成機構に関する解析を行う。 4. 細胞膜上の脂質ラフトにおける、スフィンゴ糖脂質と会合分子との相互作用とシグナル制御解析の知見をふまえて、細胞外顆粒によるシグナル制御の比較検討を行う。とくに糖鎖の差異による細胞外顆粒の機能的特徴を明らかにする。 5. 細胞外分泌顆粒による微小環境制御機構の解析のために、癌関連糖脂質発現癌細胞由来の細胞外顆粒の、癌関連糖脂質非発現細胞の形質に対する作用、線維芽細胞、免疫細胞などの正常細胞に対する作用の比較検討を行う。同時に、細胞外顆粒の、標的細胞への接着、取込み、細胞内動態と機能の発現機構に関する詳細な観察を行う。これらの知見を基に、細胞外顆粒の疾患・病態制御への応用法の開発を目指す。
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[Journal Article] Novel molecular mechanisms for roles of gangliosides in the nervous system elucidated by genetic engineering.2020
Author(s)
Furukawa, K., Ohmi, Y., Yesmin, F., Tajima, O., Kondo, Y., Pu Zhang, P., Hashimoto, N., Ohkawa, Y., Bhuiyan, R.H., Furukawa, K
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Journal Title
Int. J. Mol. Sci.
Volume: 21
Pages: E1906.
DOI
Int'l Joint Research
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[Journal Article] Cholera toxin B induces interleukin-1β production from resident peritoneal macrophages through the pyrin inflammasome as well as the NLRP3 inflammasome.2019
Author(s)
Orimo T, Sasaki I, Hemmi H, Ozasa T, Fukuda-Ohta Y, Ohta T, Morinaka M, Kitauchi M, Yamaguchi T, Sato Y, Tanaka T, Hoshino K, Katayama KI, Fukuda S, Miyake K, Yamamoto M, Satoh T, Furukawa K, Kuroda E, Ishii KJ, Takeda K, Kaisho T
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Journal Title
Int. Immunol.
Volume: 20
Pages: 657-668
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Deficiency of GD3 synthase in mice resulting in the attenuation of bone loss with aging.2019
Author(s)
Yo S, Hamamura K, Mishima Y, Hamajima K, Mori H, Furukawa K, Kondo H, Tanaka K, Sato T, Miyazawa K, Goto S, Togari A.
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Journal Title
Int. J. Mol. Sci.
Volume: 20
Pages: 2825.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Deletion of Gb3 Synthase in Mice Resulted in the Attenuation of Bone Formation via Decrease in Osteoblasts.2019
Author(s)
Hamamura K, Hamajima K, Yo S, Mishima Y, Furukawa K, Uchikawa M, Kondo Y, Mori H, Kondo H, Tanaka K, Miyazawa K, Goto S, Togari A.
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Journal Title
Int. J. Mol. Sci.
Volume: 20
Pages: 4619.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] KIF11 as a potential marker of spermatogenesis within mouse seminiferous tubule cross-sections.2019
Author(s)
Hara-Yokoyama, M., Kurihara, H., Ichinose, S., Matsuda, H., Ichinose, S., Kurosawa, M., Tada, N., Iwahara, C., Terasawa, K., Podyma-Inoue, K.A., Furukawa, K., and Iwabuchi, K.
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Journal Title
J. Histochem. Cytochem.
Volume: 67
Pages: 813-824
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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