2019 Fiscal Year Annual Research Report
高次脳機能-咬合・咀嚼・栄養との因果関係解明と補綴健康管理モデルの構築
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18H02993
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90193432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 崇晴 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00581381)
誉田 栄一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (30192321)
白山 靖彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (40434542)
水頭 英樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (70732915)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳機能 / 口腔機能 / 地域包括ケア / 前頭前野 / 感覚刺激 / 近赤外分光分析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、口腔と脳機能との関係をまず生命科学研究レベルで明らかにするとともに、その結果に基づいてフィールでの臨床研究を行い、最終的に地域包括ケア の中での補綴歯科発の健康管理モデルを構築することを目的とする。本年度は、3つのプロジェクトを進めた。 1つめは、平成30年度に測定を行った咬合力維持タスクおよびタッピング運動時における近赤外分光分析法(NIRS)よる前頭前野における活動データの分析から、口腔内の機能に関して、前頭前野が関与しない筋力制御と,前頭前野が関与する制御について系統的に整理した。その結果、前頭前野が関与する制御能力が高い方が歯の保存に関与している仮説が見い出された。 2つめは、意思決定、高次判断を司る前頭前野だけでなく聴覚、記憶野の脳血流量を測定するためのNIRS計測法および脳波計測法を導入し、それを用いた脳活動と口腔機能との関係を判断するタスクを検討した。その結果、感覚刺激(口腔・歯の感覚とその他体性感覚)と高次機能を組み合わせたタスクを構築、その予備的実験を行い、システム構築をさらに進めた。 3つめは、平成30年度に分析した徳島県美馬市木屋平地区における口腔状態に加えて、身体状態、認知・精神機能などに関するデータベースを構築し、分析を進めた。身体的活動量と認知精神機能との関連を見いだした。 口腔と脳機能との関係をまず生命科学研究レベルでの研究方法と、地域包括ケアの中での補綴歯科発の健康管理モデルを構築するための調査の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前頭前野だけでなく聴覚、記憶野の脳血流量を測定するための新たな近赤外分光分析法の取扱い方法、脳波分析の方法への取り組みが、滞った。また、木屋平地区のデータベースの構築および予備測定が新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け遅れた。そのためタスク設定までで、測定まで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度までに収集した徳島県美馬市木屋平地区住民の口腔状態・機能、全身状態、社会的状況のデータを分析し、脳機能と口腔機能との関連事項について検討する。 さらに、令和元年度までに進めてきた脳機能解析システムの開発において、意思決定、統合的機能に関係する前額部から言語や聴覚などに関係する側頭部にかけての脳機能を把握できるウェアラブルNIRS(42から46野、10野などのPFC、聴覚野、記憶野の脳血流量)システムを完成させる。あわせて口腔運動を伴わないタスクに関しては、口腔機能と関連が報告されている脳波事象関連電位P300をフィールドで測定可能なシステムを完成させる。 若年者の測定、分析:若年者(35歳未満)10名程度を対象に、下記のタスク:①視覚(モニター)による指示およびタスク、②聴覚(音声)による指示およびタスク、③触覚による指示およびタスク、④歯根膜感覚による指示とタスク、⑤鼻チューブを介しての匂い物質付与、⑥味物質付与におけるタスク、⑦咀嚼刺激付与におけるタスク、における脳活動を記録する。さらに、1)視覚刺激タスクと聴覚刺激タスクによる脳活動量(脳血流量とP300)の違い。2)歯根膜感覚タスク、口腔粘膜感覚タスク、体表面皮膚感覚刺激タスクによる脳血流量増加の違い。3)匂い刺激、味覚刺激、咀嚼刺激タスクによる脳活動量(脳血流量とP300)の違いを検討する。 徳島県美馬市木屋平地区住民の測定、分析:構築した脳機能解析システムと若年者で有効であったタスクを用いて計測を行う。 最終的に、歯の保存、咬合維持と認知低下、認知症との因果関係を高次脳機能解析とフィールド調査によって解明することを試みると同時に、その結果を用いて地域包括ケアシステムの中での補綴歯科発の健康管理モデルを構築することを目指す。
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Research Products
(5 results)