2020 Fiscal Year Annual Research Report
会議録を活用した希少がん診断支援情報システムの構築
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18H03497
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中西 陽子 日本大学, 医学部, 准教授 (90366592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根東 義明 日本大学, 医学部, 教授 (00221250)
五味 悠一郎 日本大学, 理工学部, 助教 (70440807)
増田 しのぶ 日本大学, 医学部, 教授 (20276794)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 希少がん / テキストマイニング / 会議録 / 診断支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では会議録の新たな活用方法として、エビデンスに基づいた希少がんの診断支援情報提供による患者の利益向上への貢献を目指している。今年度は、主に①システムの改良、②希少がん情報分析、③システムの広報について検討を行った。 ①システムの改良:昨年度に実装した、希少がんである可能性を提示するシステムのマスタ改訂と機能追加を行った。特に、鑑別診断支援機能として重要な染色情報について、必要に応じて実際に染色画標本を作製し、画像情報の集積を行った。画像ファイル用フォルダを追加作成し、マスタへのパス入力について検討した。 ②希少がん情報分析:次に、会議録情報源としてテキストデータ化して使用している2000年から2015年に開催された日本病理学会総会会議録(学会抄録)の中で、計4年分3,340件の抄録をテキストデータ化して、これまでに形態素解析により約65,000語の関連キーワードを抽出している。このデータを用いて希少がんと典型的ながんの分析を行った結果、希少がんでは、関連文献数の中央値が2件(0 - 11件)、関連キーワード数の中央値が153個 (0 - 771個)であった。典型的な癌の関連文献数の中央値が117件(28 - 201件)、関連キーワード数の中央値が4311個 (1548 - 6744個)であった。数値にはばらつきが大きく有意差は得られなかったが、4年分のデータによる分析では、希少がんの34.5%は学会報告も行われていないことが示された。 ③システムの広報:本研究により実装したシステムでは、典型がんの病理学的鑑別診断のための情報が提供されている。本研究の成果を広く利用して頂き、また、有意義な指摘を得るために、コロナ禍の本年度はまずソーシャルネットワークサービスを利用した広報活動を試みた。この結果、学会発表でのみ告知してきた時のアクセスカウントが、約2倍に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大により、同感染症の診療を実施している当施設では、様々な対応に時間と労力を充当することを余儀なくされたことと、対面での共同作業が一時困難になったことが要因として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果から、複数年で検討した際に、学会報告も行われていない希少がんは、真に希少であり情報検索の要求度も低いことが考えられた。このことから、希少がんの中でも、学会報告が行われている希少がんをまずは選定して情報提示することの重要性が示唆された。今後の方針としては、より多くの希少がんデータを集積して、利用者へのより有用な提供方法について検討し、さらにその効果を検証していくための広報活動の必要性が考えられる。このため、①テキストデータの拡充、②希少がん情報提供方法の検討、③システムの改良、④教育利用の効果検討、⑤広報活動の検討を行っていく計画である。特に、①②については、本年度、対面での共同作業が困難となっていたため、実施可能な方法についても検討していく。④についても、対面での学会活動が制限されている中での有用性の検証を進めるため、医学生の教育利用への効果を先に実施し、並行して業務利用への広報活動を検討していく。
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