2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Productivity Differences among Firms and Labor Policy Issues using Personnel and Other Internal Corporate Data
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18H03632
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大湾 秀雄 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60433702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝井 友紀子 早稲田大学, 政治経済学術院, その他(招聘研究員) (10588172)
黒田 祥子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50447588)
岡島 成治 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (50733549)
高橋 新吾 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 准教授 (70445899)
川口 大司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80346139)
佐藤 香織 国士舘大学, 経営学部, 講師 (90806431)
木村 寛子 (奥平寛子) 同志社大学, ビジネス研究科, 准教授 (80550954)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人事経済学 / 生産性 / 在宅勤務 / 働き方改革 / ワークライフバランス / 労働時間 / チーム生産 / 非正規雇用 |
Outline of Annual Research Achievements |
主として、5つの成果を出すことが出来た。まず、Kitagawa et al. (2021)では、大手製造業企業4社においてコロナ下の在宅勤務調査を実施し、緊急事態宣言後の生産性の低下の主要な要因は、自宅で仕事を行ううえでのPC・通信インフラの未整備や、社内外とのコミュニケーションの問題が大きいことを明らかにした。一方、在宅勤務は従業員のメンタルヘルスを改善することもわかった。2つめに、みずほリサーチ&テクノロジーズと共同で大手都市銀行の顧客企業を対象に働き方改革の実態調査を行い、働き方改革の広がりと、残業時間、離職率、企業業績への効果について検証を行った。高橋他(2021)で明らかにしたように、ROAや一人当たり売上でとらえた企業業績に対する効果は、柔軟な出退勤施策、業務選別施策、IT活用施策が正の押上効果を持つ可能性が示唆された。3つめに、Shangguan,DeVaro and Owan (2021)では、建築設計会社のプロジェクト管理データを用いて、金融不況後の需要の低下が、長時間労働の是正を通じて、生産性改善につながったエビデンスを示した。長時間労働の減少が疲労の解消・集中力の高まりにより個々人の生産性を高めただけでなく、さらにチーム内業務の再配分を通じてより生産性の高い人に傾斜配分されていた。4つめに、製造業企業1社の協力を得て、その社員に対して行った禁煙支援プログラムの影響評価を行い、禁煙は、たばこ休憩時間の解消、プレゼンティーイズムの向上、アブセンティーイズムの減少を通じて、短期的にも生産性を押し上げることを明らかにした。最後に、空輸業における人事データを用いて、客室乗務員の非正規化が、離職率を高め、出産時期を遅らせる一方、逆に正規化がそれと逆の変化を引き起こすことを示した。最後の2つの成果は2021年6月にRIETIディスカッションペーパーとして公表される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度始めの研究計画に含めていた課題のうち、製造業企業1社の業務データを用いた働き方改革の効果検証は、業務データの分かりにくさや追加データの必要性からクリーニングが難航しており、目立った成果が出ていない。他方、企業と協力して行った禁煙支援プログラム、睡眠改善プログラムの効果検証は順調に進んでおり、2021年度中にまとまった成果が出せそうである。また、海外有力研究者との共同研究は着実に進捗が進んでおり、Shangguan,DeVaro and Owan (2021)に加え、今年度もう一つ成果が出せそうであり、全体として順調な進展と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、健康データと人事データを紐づけ、健康格差が、働き方や健康習慣によってどの程度説明できるか明らかにする。また、いくつかの健康施策の効果検証を計画している。健康投資は、認知バイアスを持つ個人よりも企業が行う方が、情報量や規模の経済から効率的である可能性がある。実際に、健康データから有効な健康施策を特定し、その効果を測定することで、企業による健康投資の合理性を示していきたい。 また、本研究課題が収集・管理する人事データは毎年蓄積されており、様々な応用研究や国際比較に利用できる可能性が見えてきた。今後も国際共同や業際的な研究プロジェクトを立ち上げ、人事経済学・組織経済学のフロンティアを広げていきたい。
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Research Products
(19 results)