2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18J00554
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
石井 祐次 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 自然堤防 / 氾濫原 / OSL年代測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はカンボジアを流れるメコン川を主な対象とし,自然堤防の上方への成長過程を明らかにすることを目的としている.当初の予定では,乾季の水位が低い時期に河岸の露頭で自然堤防堆積物を採取するつもりであったが,現地へ行ったところ,状態の良い露頭が非常に限られていることが明らかとなった.そこで,試料の採取方法をハンドオーガーを用いる方法へと切り替え,複数地点で試料を採取した.また,それらの試料の一部について,粒度分析とOSL年代測定をおこなった. メコン川の自然堤防の堆積物は主に泥によって構成されていることが,本年度の調査によって明らかとなった.河成層のOSL年代測定では堆積物が堆積時に十分露光しているかどうかが大きな問題となる.そのため,一般的には砂のサンプルを用いて,測定ディスクに載せる砂の量を減らすことで,露光が不十分なディスクを検出する.一方,泥に対して同様の手法を用いて露光の不完全さを検出することはできない.しかし,泥が堆積時に十分露光していると考えられるならば,河成層の泥を用いたOSL年代測定によって信頼できる堆積年代が得られると考えられる.そこで,ポイントバー堆積物の露頭にみられる砂泥互層の砂層と泥層からそれぞれOSL年代を得て比較したところ,泥が十分に露光していることが明らかとなった.このことは,2018年の雨季に堆積した洪水堆積物の泥のOSL年代測定によっても支持された.この結果を5th Asia Pacific Conference on Luminescence and Electron Spin Resonance Dating (APLED2018)において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,カンボジアにおける現地調査での試料採取は平成30年度と31年度におこなう予定であったが,今年度までの試料採取で研究課題を達成するのに十分な量の試料を採取することができた.また,OSL年代測定も順調に進んでおり,既に自然堤防の上方への成長過程が明らかになりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はメコン川の自然堤防堆積物のOSL年代測定を進めると同時に,日本の他の低地における自然堤防の形成過程について検討できるように,日本の河成層のOSL年代測定に関する問題に取り組み始めたいと考えている.
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