2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of unrealistic temporal self-appraisal: Viewpoint from cross-cultural comparisons
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18J01883
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千島 雄太 京都大学, こころの未来研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 時間的自己評価 / 文化比較 / 文化心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,主に研究1「時間的自己評価の文化差」について4つのデータを取得し,分析を行った。 第一に,リクルートワークスが行った調査データの二次利用し,非現実的な未来の自己評価を行う者の特徴について,growth mixture modelingを用いて検討を行った。その結果,非現実的な未来の自己評価を行う者は,年齢が若く,新奇性追求の傾向が強く,未来について考える頻度が高いことが明らかになった。一方で,現実に即して高い評価を行う者よりも健康度が低いことも示された。 第二に,大阪大学が行った調査のデータを二次利用し,非現実的な過去の自己評価を行う傾向について,文化比較を行った。パネル調査であることを利用し,主観的な評価(1年間の評価の変化)と客観的な評価(1年間の実際の評価の変化)に分けて分析を行った。その結果,アメリカ人ほど,1年間で自己評価が実際に変化していなくても,主観的には向上したと答えやすいことが示された。一方で日本人ほど,実際の変化を反映させて,正確に報告しやすい傾向があることが示された。 第三に,クロス・マーケティングを利用して,Web調査を行った。その結果,人生のコントロール感の強さが過去から現在にかけての自己評価の上昇と関連していることが示された。 第四に,MIDUS(Midlife in the US)とMIDJA(Midlife in Japan)のデータを二次利用し,それまでに得られた結果を文化比較によって説明することを試みた。国を独立変数,過去から現在への自己評価の向上を従属変数とし,人生のコントロール感を媒介変数にした結果,有意な媒介効果が示された。ここから,アメリカ人が過去から現在にかけて自己評価が向上したと報告しやすいのは,人生を自らがコントロールしている感覚が強いからであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,研究1について一つのデータセットで検討を行う予定であったが,4つのデータを取得して,多角的な観点から時間的自己評価の文化差とその要因を明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は研究1における調査回答者を追跡調査することで,研究1「時間的自己評価の文化差」の検討をさらに行うとともに,研究2「時間的自己評価とライフコース選択の自由度とコントロール可能性」についても同時に検証する。研究2では,コントロール可能性を操作した上で,過去の自己評価を尋ねる実験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)