2018 Fiscal Year Annual Research Report
新規の視機能計測法の確立とベストパフォーマンス発揮のための視覚情報処理の最適化
Project/Area Number |
18J10150
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
呉屋 良真 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 視覚情報処理 / 背側視覚経路 / 運動視 / 視機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツに関係する視機能として動体視力が計測されてきた。その方法はアルファベットの“C”字状のランドルト環を水平方向に高速移動させ、その切れ目の位置を正確に見分けることが出来るかを問う課題となっており、動く物体の詳細を見分ける(形態視)能力の評価であった。しかし、球技スポーツ場面で重要な視機能は、ボールの動く方向や速度を正確に弁別する(運動視)能力であり、この運動視能の計測についての評価方法がこれまで開発されてこなかった。そこで、サルを使った運動視の先行研究で用いられてきた視覚刺激をヒトの心理物理実験に応用し、“ヒトの運動視能計測法”を確立した。 構築した運動視能計測法を大学卓球競技者と球技未経験者に実施したところ、視覚的ノイズがある条件で大学卓球競技者の運動視能が有意に高かった。また、コヒーレンスの増加のさせ方やターゲット位置を完全にランダムにする等、パラメータを変更することで、パフォーマンスに関わる運動視能の揺らぎを検出する課題も構築することができた。その課題の反応時間と、本研究室で既に構築済みである、よりスポーツの実場面に近い統制の取れた視覚連続高速運動課題の成績変動を、同一被験者に複数日実施させることで検討した。その結果、反応時間が速いほど、視覚連続高速運動課題の成績も高いという相関関係が認められた。運動視が視覚運動パフォーマンスに寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、確立したヒトの運動視能計測法を用いて、競技者と非競技者の運動視能を比較するとともに、運動視と視覚運動パフォーマンスの関係を調査することが目的であった。それら全てを予定通りに実施し、競技者が非競技者よりも運動視能が優れていること、運動視能の良否がパフォーマンスの高低を反映していることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度においては、課題の確立、そしてラボテストとしての運動パフォーマンスとの関連が確認できたが、実際のパフォーマンスとの関係を検証するまでには至らなかった。フィールドテストとしてのスキルテストの構築はほとんど完了しており、細かな修正点を残すのみであるので、次年度は、運動視能と実際のパフォーマンスとの関係を実験的に検証していく予定である。
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Research Products
(3 results)