2018 Fiscal Year Annual Research Report
臓器間ネットワークを司る多機能ペプチダーゼによる糖代謝制御機構の解明
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18J10629
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 真太郎 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪組織 / 糖代謝 / インスリン抵抗性 / インスリン感受性 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪細胞におけるNardilysin (NRDC)における糖代謝制御機構の解明を中心に研究を進めている。 脂肪細胞特異的NRDCノックアウトマウス(Adipo-KOマウス, Adiponectin promoter-Cre)を確立し、糖代謝に関する解析を継続している。通常の飼育下ではグルコースおよびインスリン投与に対する耐糖能およびインスリン感受性に差がみられないが、高脂肪食により肥満を誘導した条件では、体重増加はコントロールマウスと同様であるにも関わらず、Adipo-KOでは耐糖能およびインスリン感受性は、コントロールマウスと比較して良好である結果を得ていた。今年度は精巣上体脂肪組織における解析を行い、Adipo-KOマウスでは脂肪組織における炎症細胞の浸潤の減少、王冠様構造の減少などの表現型が認められた。一方で、培養脂肪細胞において、内因性のNRDCがインスリン刺激に対するAktリン酸化などのインスリンシグナルに影響を与えないという結果を得ている。以上のことから、研究者は脂肪細胞におけるNRDCが脂肪組織における炎症の制御を行っているのではないかという仮説を立てている。特に、当研究室においてNRDCが核内において転写因子Islet1やPGC1-alphaのコレギュレーターとして機能していることを報告しており、今回の実験においてもNRDCが炎症に関連する転写因子であるNFkappaBやAP-1との結合により下流の複数の炎症関連遺伝子(MCP-1など)の発現を制御しているという仮説をもとに解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた脂肪組織・糖代謝に関する解析についてはほぼ予定通りに進行した。培養細胞を用いた実験系の確立に難渋しているところであるが、概ね想定の範囲内と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、Nrdcノックダウンを誘導するshRNAを発現するレンチウイルスベクターを3T3-L1細胞に感染させて実験を行っているが、ノックダウン効率は不十分であり、siRNAトランスフェクションやCrispr Cas9、Adipo-KOマウス脂肪組織初代培養細胞の系の確立などを試みて将来的に次世代シークエンサーを用いたトランスクリプトーム解析に耐えうる実験系の確立を目指している。 以上より、マウスを用いたvivoにおける今回のテーマに基づく表現型については一定の結果を得つつあり、今後は、培養細胞系において分子生物学的機序について解析を行っていくことを計画中である。また、NRDCの機能解析として免疫クロマチン沈降法を用いた解析も予定している。
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