2018 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌オルガノイドを用いた癌幹細胞特異的T-UCRの発現・機能解析
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18J11110
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
本間 りりの 広島大学, 医歯薬保健学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 大腸癌 / non-coding RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト大腸正常粘膜及び癌部それぞれからオルガノイドの樹立に成功した。正常粘膜オルガノイドでは腺組織に似たbudding構造が明瞭に認められる一方、癌オルガノイドは充実性の増殖を示す。 オルガノイドは培養条件によって幹細胞を維持し長期培養を行うことのほかに、幹細胞から分化を誘導することもできる。本研究においても正常粘膜オルガノイドについて幹細胞を維持する条件からWnt3aとp38 inhibitorを除くことにより分化の誘導に成功し、その様子をAlcian Blue-PAS染色及び免疫染色により確認した。これより、オルガノイドが幹細胞を豊富に含むことが実験的に示された。 続いてT-UCRの発現解析を行った。過去の報告で大腸癌において発現に変化の見られた61のT-UCRについて、樹立した3症例の大腸癌オルガノイドを材料にqRT-PCRにより発現解析を行った。その結果、全ての症例において正常粘膜オルガノイドと比べて大腸癌オルガノイドで2倍以上の発現上昇を認めたT-UCRとしてUc.91+、Uc.182+、Uc.249+A、Uc.266+Aを同定した。 これら4つのT-UCRの配列をそれぞれ組み込んだ発現ベクターを作製し、大腸癌細胞株SW48にtransfectionし強制発現させたところ、大腸癌幹細胞マーカーであるCD44及びLGR5の発現上昇を認めた。同様に作製した強制発現株を用いて5-FU、L-OHP、CPT-11について薬剤感受性試験を行ったところ、Uc.249+A、Uc.266+Aを強制発現させた株ではいずれの薬剤に対しても感受性が低下していた。腫瘍部におけるUc.249+A、Uc.266+Aそれぞれの発現と臨床病理学的因子との相関を解析したところ、Uc.266+Aの発現とN Stage、Stage groupingが有意に相関していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸癌オルガノイドの樹立に成功し、それらを用いて大腸癌幹細胞において発現変化を示すT-UCRを同定した。このうちUc.266+Aはその発現レベルとリンパ節転移、病気の進行との間に有意な相関を見出した。現在は強制発現系及びノックダウン系を用いたより詳細な検討を進めており、概ね研究計画に沿って進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
強制発現系及びノックダウン系を用いてより詳細にUc.266+Aの機能解析を進めるとともに、複数症例から樹立したオルガノイドにおいてUc.266+Aの発現のvalidationを行う。 さらにはUc.266+Aと相互作用を示すmiRNAの検索・解析を行いUc.266+Aの発現制御機構を明らかにする。
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