2018 Fiscal Year Annual Research Report
相対的な業績評価制度によるラチェット効果およびチームワークへの影響
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18J12355
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小山 真実 神戸大学, 経営学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | ラチェット効果 / チーム / 目標設定 / 相互学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、複数の従業員が共に生産活動を行うチームの環境において、ラチェット効果と呼ばれる問題がいつどのように深刻化するのかを明らかにすることである。ここでラチェット効果とは、契約期間が一期間の場合に比べて、契約期間が複数期間にわたることによって生じる、逆選択問題解消の追加的困難性を指す。 本研究計画は二年間の計画であり、一年目は理論モデルの分析と実験設計を行う。二年目は学部学生を被験者とした実験室実験を行う。 一年目にあたる2018年度は、相互学習のあるチームにおけるラチェット効果の問題を理論モデルにより分析した。分析の結果、チームとして能力の高い者と低い者が共に生産活動を行うことで能力の低い者の能力が向上するという相互学習が起こるチームにおいては、ラチェット効果の問題が深刻化しにくいことが数値的に示された。また、この結果をもとに実験設計に着手した。これらのモデル分析の結果と実験設計をまとめて、日本管理会計学会第35回(2019年度第1回)関西・中部部会にて報告予定である(受理済)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年間の計画の一年目にあたる2018年度は、理論モデルの分析と実験設計を行った。分析の結果、相互学習がラチェット効果を抑制することを数値的に示すことができた。これは数値的な結果であるが、続く実験設計を行ううえでは十分な結果であると判断した。このため、現在までの進捗状況は順調であると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目にあたる2019年度は、先の計画通りに2018年度に作成した理論モデルに基づき実験室実験を実施する。加えて、2018年度に作成した理論モデルの追加的な分析を行う。具体的には、昨年数値的にしか示せなかった事柄を、一般的に示すことに取り組む。
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