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2018 Fiscal Year Annual Research Report

肺線維症におけるILC2の役割解明

Research Project

Project/Area Number 18J12457
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

大瀧 夏子  慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2018-04-25 – 2020-03-31
Keywords肺線維症 / 自然リンパ球 / ILC2
Outline of Annual Research Achievements

特発性間質性肺炎(Idiopathic Interstitial Pneumonia; IIPs)は原因不明の特定疾患群であり、肺間質の炎症や線維化を特徴とする。IIPs患者の半数は、ステロイドや免疫抑制剤といった治療に抵抗性であり非常に予後が悪いため、病態の解明ひいては新しい治療法の開発が待たれている。
数多くのIIPs研究がこれまでなされてきたにも関わらず、病態の全貌が未だ明らかになっていない原因の一つとして、適切なモデルマウスが存在しなかったことが挙げられる。従来モデルでは薬剤投与によって病気を引き起こしているため未病期を解析できないこと、さらに本来IIPsは年齢とともに病態が悪化していくのに対し、従来モデルでは自然寛解するため増悪期が解析できないことが問題であった。
2型自然リンパ球(Group 2 innate lymphoid cells; ILC2)は当研究室で2010年に発見された新しいリンパ球であり、アレルギーの増悪や寄生虫感染時の防御に関わる細胞である。近年ILC2がこれらの疾患のみならず、他の様々な疾患の増悪・発症にも関与することが次々と明らかにされつつある。当研究室でILC2の主要な抑制機能を破綻させたマウスを作成したところ、ヒトIIPs様の症状を自然発症することが明らかになった。当研究ではこの新規IIPsモデルマウスを用いて、肺線維症の発症・増悪メカニズムを解析することを目的としている。
新規モデルマウス作成の経緯から、モデルマウスにおける肺線維症の発症・増悪にILC2が関与している可能性が強く示唆されたため、前年度はこの仮説を証明することに主眼を置いた。申請者の研究により、ILC2がモデルマウス肺において線維化に先んじて活性化していること、さらにILC2なしには肺線維症は発症しないことが明らかになり、ILC2が発症に必須であることが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ILC2の主要な抑制機構としてIFNgシグナリング、制御性T細胞(Treg)がこれまで報告されており、当研究室でこれらの抑制機構を両方欠損するマウスIFNgR-/-Rag-2-/-マウスを作成したところ、ヒトIIPs様病態を示すことが明らかになった。病態形成にILC2の関与が強く示唆されたため、前年度はこの新規IIPsモデルマウスを用い、1. ILC2が肺線維症の発症に関与しているのかどうか、2. ILC2の自然な活性化はどのようにして起きるのかを明らかにすべく、解析を行なった。
1について、IFNgR-/-Rag-2-/-マウスと、自然リンパ球(Innate lymphoid cells; ILCs)を欠損するgc-/-Rag-2-/-マウスを交配し、gc-/-IFNgR-/-Rag-2-/-マウスを新たに作成して解析したところ、このマウスでは肺線維症の発症は見られなかったため、肺線維症の発症にはILC2を含むILCsが重要であることが証明された。
次に2について、前年度の研究計画書に記載したように、線維芽細胞由来SPP1がILC2の自然な活性化を引き起こす可能性を考え、SPP1をILC2の培養上清中に添加してILC2の活性化を見る実験を行なったが、期待されたような効果は得られなかった。そこで視点を変え、以下の実験を行なった。モデルマウス肺由来のILC2を様々なサイトカイン刺激下で培養したところ、野生型マウス肺由来のILC2と比較して、IL-2に対する反応性が上がっていることが明らかとなった。IL-2はILC2自身から産生されることが知られるサイトカインであり、定常状態においても放出されていることから、モデルマウス肺においてIL-2に対するILC2の感受性が向上していることが、ILC2の自然な活性化、ひいては肺線維症発症の原因であることが示唆された。

Strategy for Future Research Activity

今年度は前年度の結果を踏まえ、まずは1. IL-2がモデルマウスにおける肺線維症発症の原因となるかどうかを証明し、さらに2. ILC2がどのように繊維芽細胞に働きかけて活性化を誘導し、線維症を引き起こすのか、その詳細なメカニズムを明らかにすべく研究を進めていく予定である。
1に関して、具体的にはモデルマウスにIL-2を投与し、肺線維症発症が早まるかどうかを検証する。また反対に、発症前のマウスにIL-2中和抗体を投与し、発症が抑えられるのかどうかを検証する。
2に関して、ILC2が他の細胞を誘導し線維芽細胞を間接的に活性化させる可能性、もしくは直接活性化させる可能性の両方を考え、実験を進める。前者については、活性化ILC2はIL-5を放出して好酸球を誘導することが知られており、モデルマウス肺においても顕著な好酸球浸潤が見られることから、好酸球が病態に関与している可能性を考えている。現在モデルマウスと好酸球ノックアウトマウスを交配中して新しい系統を作成中であり、これが完成次第、肺線維症を発症するかどうかを解析予定である。また後者に関しては、現在モデルマウス肺由来線維芽細胞をin vitroで培養し、その活性化を評価する系を確立中である。この系を用い、ILC2と線維芽細胞を共培養し、線維芽細胞が活性化するのかどうかを確認する。さらに線維芽細胞の活性化因子と予想されるサイトカインの中和抗体を培養上清に添加し、活性化が阻害されるかを確認する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] The role of Group 2 innate lymphoid cells in pulmonary fibrosis.2018

    • Author(s)
      Otaki N, Moro K.
    • Organizer
      The 3rd Internationl Conference on Inate Lymphoid cells
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] The role of Group 2 innate lymphoid cells in pulmonary fibrosis.2018

    • Author(s)
      Otaki N, Asano K, Moro K.
    • Organizer
      第47回日本免疫学会学術集会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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