2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J12568
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯島 直樹 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 元帥府 / 軍事参議院 / 陸海軍 / 明治立憲制 / 明治天皇 / 大正天皇 / 昭和天皇 / 日本近代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
「交付申請書」の研究実施計画に基づき、本年度は博士論文の執筆に注力した。執筆にあたって、国会図書館憲政資料室・国立公文書館・防衛省防衛研究所・宮内庁宮内公文書館・靖国偕行文庫などの所蔵史料を悉皆調査を行った。その成果は、「天皇の「多角的軍事輔弼体制」と明治立憲制―元帥府と「協同一致」をめぐる陸海軍関係を中心に―」と題した博士論文をまとめ、2019年11月東京大学に提出、審査を経て2020年3月に博士(文学)を授与された。博士論文の概要は以下の通りである。 近代日本では、国務大臣や枢密院、明治憲法規定外の元老らの輔弼によって、国務面の輔弼責任が保障されるという明治立憲制が成り立っていた。一方、軍事面では輔弼主体が憲法上に明記されず、昭和天皇の積極的な軍事指導者像が提起されてきたため、その輔弼基盤の実相は等閑視されてきた。そこで、元帥府に着目しながら、明治立憲制における軍事面の輔弼構造を、省部(軍政・軍令機関)以外の輔弼者(機関)の存在を織り込んだ「多角的軍事輔弼体制」と、省部だけによる陸海軍「協同一致」の輔弼体系を志向する「一元的軍事輔弼体制」という枠組みを用いて、明治期から昭和戦時期にかけて三代の天皇による軍務の実態にも留意しながら通時的に考察することで、天皇―陸海軍関係の新たな側面を提示することを目指した。 本研究では、「多角的軍事輔弼体制」の構図を提示することで、軍官僚制や部内統制システムの形成・展開という論点を、軍による輔弼の在り方という視点から逆照射し、1930年代の陸海軍双方の部内統制の混乱という構図や戦時期の昭和天皇の積極的な戦争指導が前景化する要因を提示した。 博士論文執筆と並行して、昨年度史学会大会での報告を論文化し、現在学術雑誌に投稿中である。また、史料収集過程で入手した新史料について、人物史料情報という形で学術雑誌に寄稿し、新史料の知見の共有に努めた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)