2018 Fiscal Year Annual Research Report
なぜ虐待を受けると表情が読み取れなくなるのか?-発達臨床心理学の観点から-
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18J12844
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
松尾 和弥 甲南大学, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 虐待 / 不安定愛着 / 表情認知障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,虐待と不安定愛着が表情認知障害に及ぼす影響を幅広い年齢層のサンプルを対象に検討し,表情認知障害に対する介入プログラムを作成することを目的としていた。第1研究では,小学生から高校生までの児童を児童養護施設と一般家庭からサンプリングし,児童養護施設の児童を被虐待経験群,一般家庭の児童を統制群とし,両群を比較検討することを予定していた。しかし,施設との仲介を依頼していた教員が病気により休職したことなどもあって,第1研究をそのまま実施することが困難であった。そのため,2018年度の研究計画を2019年度に繰り越すとともに,研究計画の微修正を行った。具体的には,より深刻な虐待を経験したサンプルを対象とする第1研究と,およそ20代から60代までの年齢幅の広い人々を対象とする第2研究を包括する目的で,児童養護施設に現在入所している児童ではなく,児童養護施設を退所した成人を被虐待経験の多いサンプルとしてサンプリングすることを計画している。一般家庭出身の成人と表情認知障害の程度を比較することにより,両群の違いを明確にすることを予定している。また,それらのサンプルはWeb上でリクルートすることを予定している。そのため,Web調査の利点を活かして迅速にデータが収集できるよう,すでに,調査で使用する質問項目の準備と表情認知課題の表情刺激の選定,プログラムの作成は完了しており,Web調査会社との調査前の事前打ち合わせが完了すれば,調査を実施することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
児童養護施設の児童を対象にデータを収集することを予定していたが,施設との仲介を依頼していた教員が病気により休職したことなどもあって,研究計画の変更を余儀なくされている。しかし,実験で使用する尺度項目の選定や表情認知課題の作成は完了しているため,データの収集の目途が立ち次第,研究を始めることを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては,虐待やネグレクトといった小児期の逆境経験を数多く経験しているサンプルのリクルートにWeb調査を利用することを予定している。現在,そのような対象者への調査の実績のあるWeb調査会社の担当者とやりとりを進めており,それが完了次第,データを収集する予定である。
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Research Products
(1 results)