2019 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション環境から見る、90年代以降の中国の若者文化とサブカルチャー
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18J13478
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
楊 駿驍 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 現代中国 / マンガ / ゲーム文化 / SF / 若者文化 / サブカルチャー / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
二〇一九年度は前年度の研究を受け継ぎ、二〇〇〇年代以降から現在に至るまでの、中国における若者文化またはサブカルチャーの構造的な変化を描き出すという目的で、①ウェブマンガ、②ゲーム文化、そして③SF文学という変化が大きく現れている三つの領域を軸に研究を展開した。 ①中国におけるウェブマンガについては、新たに現れた弾幕機能に注目し、「マンガ表現論」という視点から、それがマンガにいかなる変化をもたらしたのかについて研究を行った。ウェブマンガのアーキテクチャによって、読者は自由にマンガ作品をモジュール(要素)に分解し、ほかの文脈に接続するような受容の仕方を行うようになり、読者の作品に対する関係性も「没入」と「コミュニケーション」に二重化されることが明らかになったのである。 ②中国の若者文化において大きな比重を占めるゲーム文化の特徴を明らかにするために、ゲーム文化とウェブのアーキテクチャの関係性についての理論的な研究を推し進めた。その結果、「遊び」の中心的な特徴――「文脈依存性」と「流用性」――が中国において広い文化領域にまで拡散し、浸透していることが明らかになった。この点で「遊び」とは脱/再文脈の操作の一形態であると定義でき、そして遊びの原理はすでにゲーム文化そのものだけでなく、ウェブマンガも含む、ウェブやSNSのアーキテクチャに深く組み込まれていることを明らかにした。 ③ SF作品〈三体〉三部作の分析を通して、中国の人々の文化的・社会的想像力が大きく変化しつつあることを示す、二〇一〇年代以降に勃興したSF文学について研究した。『三体』第一作の示す思考と感性のモードは「文脈主義」ともいうべきものであり、続編の『三体2:黒暗森林』では「生存」という九〇年代から中国で支配的になった言説を導入しつつ、それを「特定の文脈の支配から逃れるもの」として再定位していることが明らかになった。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)