2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Analytical Methodology based on Based Structural of Perfluorinated Precursors and the Fate of their Degradation Products
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18J13848
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
雪岡 聖 京都大学, 地球環境学舎, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | ペルおよびポリフルオロアルキル物質 / ノンターゲット分析 / Fragmentation flagging / イオンモビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
ペルおよびポリフルオロアルキル物質(PFASs)は、撥水性、撥油性など優れた性質を有するため、様々な製品で使用されている。環境中における難分解性やヒトへの遺伝子損傷性などが報告され、代表物質であるペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質において、2019年にPOPs条約附属書への追加が検討されている。現在、その存在実態を明らかにするために、未知のPFASsのノンターゲット分析手順の確立が求められている。 既存研究において、分子関連イオンにコリジョンエネルギー(CE)を当てときに生じるFragment ionに着目した。その中でも、PFASsから生する共通Fragment ionsを標識とするというFragmentation flaggingに基づいたノンターゲット分析が提案した。本研究では、PFASsのFragmentation flaggingに基づいたノンターゲット分析手順の確立を主目的とした。 本研究では入手可能な44種類のPFASsの標準物質を対象とし、液体クロマトグラフィー精密質量分析装置を用いて分析し、それらの断片イオンのデータベースを構築した。PFASsの総物質数は1,247であり、その分類は75となった。得られた種々のFragment ionの中でも検出頻度の高いものをFragmentation flagsとし、385種類の断片イオンを標識として選定した。またイオンモビリティを用いて、分子関連イオンのm/zの推定を試みた。本研究では、イオンモビリティにより分子関連イオンのm/zの推定を行い、その結果、消火剤から新たに9種類のPFASsを検出し、その存在を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では入手可能な44種類のPFASsの標準物質を対象とし、液体クロマトグラフィー精密質量分析装置を用いて分析し、それらの断片イオンのデータベースを構築した。PFASsの総物質数は1,247であり、その分類は75となり、その内Fragment ionの情報がある物質数は68であった。得られた種々のFragment ionの中でも検出頻度の高いものをFragmentation flagsとし、385種類の断片イオンを標識として選定し、Class 1 ~ Class Xに分類した。Class 1 [CnFm]-では120種類をFragmentation flagsとした。同様に、Class 2 [CnFmO]-では123種類、Class 3 [CnFmO3S]-では131種類とした。Class N CnFmを含むでは上記以外のFragmentation flagsとし、任意で追加できるという位置づけとした。Class Xその他(CnFmを含まない)では11種類であった。 次に、Fragmentation flagsとそのもととなる分子関連イオンを結びつけるために、イオンモビリティを用いて、分子関連イオンのm/zの推定を試みた。イオンモビリティで分離後にCEによって、より早いスピードでFragment ionを生成するため、分子関連イオンとFragment ionのDrift timeが同じ時間を示す。つまり分子関連イオンとFragment ionをDrift timeに紐づけすることができる。本研究では、イオンモビリティにより分子関連イオンのm/zの推定を行い、その結果、消火剤から新たに9種類のPFASsを検出し、その存在を明らかにした。以上より、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、PFASsから生する共通Fragment ionsを標識とするというFragmentation flaggingに基づいたノンターゲット分析が提案した。今後は本分析法の確立を目指して、2019年5月-10月にOrebro University(スウェーデン)に滞在して、以下の研究を実施する予定である。研究A:環境試料の分析によるデータベースの拡張する。本分析法はデータベースに基づいた解析手法であるため、実試料の分析結果から得た情報を、再度データベースへ追加する。しかしながら、国内で入手可能な環境試料から得た情報は限定的であるため、現地で採取した環境試料(河川水, 下水, 産業排水、n =30)を分析し、その結果をデータベースに追加することで、データベースを拡張する。研究B:他分析法との比較による本分析法の評価する。Orebro Universityで開発されている様々な目的に応じた分析法と比較することで、本分析法の位置づけを把握し、評価する。同一の環境試料(n =10)に対して各々の分析法で解析を行い、本分析法の改善点を抽出する。さらに、他分析法との組み合わせを図り、新たに情報を追加する。研究C:種々の環境試料に対する実用性の検証と発信を行う。本分析法の実用に向け、その妥当性を示すことは必要不可欠であり、その実用性の検証として、種々の環境試料(河川水, 下水, 産業排水)に対する最適化を行う。また、未知のPFASs汚染に対して「本手法は全体の何%を説明できているのか」を明確にすることで、本分析法の実用化を目指す。
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Research Products
(4 results)