2019 Fiscal Year Annual Research Report
デュアルコム分光法を用いた偏光計測装置の開発と生体分子計測への応用
Project/Area Number |
18J21480
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
住原 花奈 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 光周波数コム / デュアルコム分光法 / 偏光計測 / 光物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、偏光デュアルコム分光法を物性計測に応用することである。デュアルコム分光の「高速性」、「光の振幅と位相を高精度に取得できる能力」を生かすことで、これまでにない精密な異方性計測を達成できる可能性がある。これができるようになると、高分子材料の延伸過程における分子鎖の配向度合いが分かり、機能性高分子材料の開発が高精度にできるようになる。 本年度は前年度に開発した手法を論文化するための詰めの作業に取り組んだ。一点目としては、各光学素子のアラインメントがどれだけ結果に影響を及ぼすのかどうか調べた。これに関しては、電気光学変調器にどれだけまっすぐ光を入れるかがかなり重要であることが分かった。大雑把なアラインメントだと、得られる偏光のパラメーターに若干のひずみが生じてしまう。実験ではこのひずみが生じないようにアラインメントする必要がある。二点目としては、本手法で得られる複屈折の精度がどれくらいになるかを実験で見積もった。その結果、10のマイナス5乗のオーダーで複屈折を測ることができることを確認した。 以上の二点を踏まえた上で、本研究内容について論文化を行った。試料としては、アクロマティック1/4波長板に透過率が55%程度になるようなNDフィルタを張り付けたものを用いた。本研究の特筆すべき点は、「デュアルコム分光を用いた世界初の複屈折計測の例であること」、「電気光学変調器の複雑な複屈折性(残留複屈折)に関してもきちんと数式化し、解析したこと」である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の内容は申請書に記載した平成30年度の計画にほぼ沿った形になっており、論文としてまとめることができたため。また、本研究を通して電気光学変調器の部分のアラインメントが重要であることと、実験結果の精度に関する知見が得られたことからもおおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験・解析により、デュアルコム分光法を用いた偏光計測手法の測定精度や特性に関する知見が得られた。今後は、この知見を未知の物性計測へ生かしていくフェーズだと考える。具体的には、高分子材料の延伸過程における分子鎖の配向度合いの変化などの観測をしたい。
|
Research Products
(4 results)